1995年に韓国ソウルで発生した「三豊(さんぷん)百貨店崩壊事故」は、建物の崩落事故としては世界的にも類を見ない大惨事でした。事故の背景には、設計や施工の不正、そして安全を軽視した判断がありました。(アーカイブマネジメント部 疋田 智)

デパート崩落で500人以上の犠牲者が

1995年6月29日、韓国ソウル特別市瑞草区にあった三豊百貨店A棟が営業中に突然崩壊しました。午後5時57分の惨事で、地震やガス爆発などの事故というわけではないのです。
なにもないのに、突然、建物は両端の一部を残してほぼ全面的に倒壊しました。

事故当初(1995年6月29日夕刻)はあまりの惨状に「何かの爆発」に違いないとされました。

この事故により502人が死亡、6人が行方不明、937人が負傷するという甚大な被害が生じました。