◆適用要件があいまい 見直しに向けた議論も…「危険運転致死傷罪」
東名高速での飲酒運転による死亡事故をきっかけに、2001年に施行されたのが「危険運転致死傷罪」です。
過失運転致死傷罪が最大で7年の拘禁刑なのに対し、危険運転致死傷罪は最大で20年の拘禁刑です。
条文には「アルコール又は、薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為」などとあり、故意に危険な運転については、大幅に重い刑が科されます。
ただ、危険運転致死傷罪を巡っては、適用要件があいまいで、飲酒運転などがわかっていても、適用されなかったケースも少なくありません。
こうしたことを受けて、アルコールの数値基準を明確にするなど、適用要件の見直しに向けた動きも高まっています。
「飲酒運転が繰り返される社会を正せる人が増えてほしい」。友規さんの父親の言葉が胸に刺さりました。

私たちが、飲酒運転をなくす社会体制を、いますぐに作ることは難しいかもしれません。
しかし、お酒を飲んだら運転しない。そしてそれを他人にもさせない。その意識を持つことや、声かけをすることはすぐにできます。そうしたことが、飲酒運転根絶のために誰もができることの1つであり、実践していくべきことだと思います。

10年前、一家5人が死傷する飲酒ひき逃げ事件があった北海道砂川市。市内のある飲食店の店主は、お酒を注文する客には、煙たがられたとしても、車で来ていないか、必ず確認するといいます。「大切なお客さんが傷ついてほしくないから」。こうした声掛けで、客が飲酒運転をしようとしていたのを防いだこともあるそうです。
飲酒運転を根絶するために、社会が、私たちができることは何か?一人一人が考えていかなければなりません。(HBC北海道放送報道部 馬場佑里香)
■この記事は、3部構成になっています。
【第1部】「どれだけ泣き叫んでも、本人は二度と目を覚ましてくれない」24歳の息子を奪われた両親…受け入れられない現実
【第2部】「人殺しとしか言いようがない」処分保留で釈放された飲酒運転の男性への強い憤り24歳息子を奪われた両親の叫び
【第3部】1年経っても処分保留のまま…「静かに待つしかない」両親の葛藤と願い "判断が出ない"理由について専門家は
※亡くなった田中友規さんの両親へのインタビューは、事故から1年を前に、9月15日に行ったものです。