根拠となる「隆起量」データの見直し
では、根拠となるデータの1つ「隆起量」とは何か?時間予測モデルは、前に起きた地震の隆起量が大きい(つまりは地震が大きい)と、次に起きる地震までの期間が長くなり、隆起量が小さい場合は次の地震までの期間が短くなるという法則です。南海トラフ地震は周期的に発生していて、高知県室戸市の室津港では地震により隆起した高さ(隆起量)を記録した史料が残され、時間予測モデルに用いられています。その隆起量は、宝永地震で1.8m、安政地震で1.2m、昭和地震で1.15mとのデータを採用していました。
今回の大きな変更ポイントの1つは、室津港の隆起量データの見直しです。新たな研究論文が発表されたことなどから、▽史料の記録や解釈を再検討、▽隆起量データの不確実性を表すこと、つまりは「データに幅を持たせる」ことにしました。
これにより、平均値は宝永地震で1.83m、安政地震では1.13m、昭和(南海)地震では1.02mとしました。そして、標準偏差が、宝永地震で0.51m、安政地震で0.52m、昭和地震で0.06mと判断。たとえば、宝永地震の隆起量は、1.83mの±0.51mほどの誤差がある可能性が高いとして計算することにしたのです。