断ち切られた家族の絆

――強制隔離政策は、入所者と家族との絆も断ち切ってしまいました。

(屋会長)
「当時は仕方がなかった面もあります。国の言うことを信じれば、家族も生きていくためには縁を切るしかなかった。正しい知識を持っていれば違ったでしょうが、国自体が分かっていなかったのですから」

――今もその関係は回復していないのでしょうか。

(屋会長)
「はい。故郷に帰れば、また近所の人から偏見の目で見られる。だから帰れない。親とも兄弟とも言えないままの人がいます。一番ひどいのは、兄弟の結婚式に『帰ってくるな』、親の葬式に『来てくれるな』と言われることです。墓参りさえ『しないでくれ』と言われたら、本当に辛い。

なぜ自分が悪いのか、と。今なら、親もそうしなければ生きていけなかったと理解できますが、それに気づくのにも時間がかかります」

――入所される時、多くの方が本名を隠して「園名(偽名)」を使ったと聞きます。

(屋会長)
「療養所に入る時に職員からまず『名前をどうするか』と聞かれます。身内に迷惑をかけないようにするためです。私は悪いことをしていないのになぜ名前を変えるのかと思い、本名で入りましたが、多くは偽名でした。そうしないと、家族がその土地で生きていけなくなるからです」