■突然の「国宝」鑑賞でサプライズ 両陛下の想いとは

雅楽鑑賞から約3週間後の11月24日、急遽、愛子さまの「お出まし」の日程が入った。
東京国立博物館で開かれている特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」を両陛下とともに訪問されたのだ。

この日、ご一家は全員で水色を基調にコーディネートされた、いわゆる「リンクコーデ」で登場された。
陛下は水色のネクタイ、皇后さまはブルーグレーのパンツスーツ、そして愛子さまは水色にネイビーのパイピングが施されたノーカラーのジャケットに紺色のフレアスカート。
耳元のパールのイヤリングとともに揺れる、綺麗に巻かれたポニーテールが可憐だった。
我々報道陣にも会釈をされ、カメラの前を通り過ぎた後、皇后さまが楽しそうにそっと愛子さまに何か話かけながらエスカレーターを上がっていかれた様子が印象に残っている。三人そろっての久しぶりの外出に気持ちが高まっているようにも、また、愛子さまに何かを伝えているようにも見えた。

この後のカメラ撮影ではちょっと珍しいことがおきた。鑑賞される様子の冒頭撮影を終え、カメラマン達が一旦その場を離れた後、宮内庁の職員が急にバタバタと慌てふためき始めた。そして、なんとカメラマンを呼び戻し「撮り直し」が行われることになったのだ。普段、宮内庁側から「撮り直し」を提案されることなどまずない。何が起きたのか―?
実はこの時、最初の3人の並び方だと愛子さまがカメラによく映っていないのではと皇后さまが心配され、それを聞いた陛下が「撮り直し」を提案してくださったという。
恐縮し頭をさげる我々報道陣に、陛下は「そのほうが良いですよね?」という感じでにこにこと頷かれ、1回目よりもカメラによく見えるように並んで下さった。

帰り際にも、皇后さまは見送りの関係者にお礼を述べられたあと、愛子さまに「授業でやったところがあったりしたのよね?」と促された。愛子さまはそれに応えるように笑顔で「勉強になりました」と頭を下げられた。陛下は「家族3人でゆっくりと豊かな時間を過ごすことができました」と感謝を伝えられた。
愛子さまのお出ましに期待と注目が高まっていることを両陛下も意識されている。そして、成年皇族になった愛子さまに、取材が入っている時の所作や振る舞いを少しずつ伝えようとされていることが垣間見えた貴重な瞬間だった。
今回の誕生日映像の撮影は、愛子さまが周囲に「こういう感じでよろしいでしょうか?」と確認しながら進められていたという。
両陛下の想いはしっかりと愛子さまに伝わっているようだ。

■愛子さまの雰囲気が変わったワケは?

取材していると、「愛子さまのお出ましを増やすことは難しいのか?」「成年皇族として公務にどう向き合われる予定か?」といった率直な疑問がわくのも事実だ。
「今は学業優先。それがご両親のお考えでもある」というのが宮内庁の答えだ。
ある宮内庁の幹部の一人は、「誰にでもタイミング・時期というのがある」としながらも、「皇室の方々にとって“成年”は非常に重い意味をもつ」と指摘した。
成人されて以降、特に愛子さまの雰囲気が変わり、ぐっと大人びたように感じたのは私だけではないと思う。雰囲気や顔つきというのは変えようと思って変えられるものではない。
天皇家の一人娘として、そして成年皇族として、愛子さまの中に「覚悟」が表れているのではないだろうか。
皇族数の減少や、女性皇族のあり方など、様々な課題を抱える中で、愛子さまが令和の時代をどう彩り、切り拓いていかれるのか―。
21歳の愛子さまの一つ一つの「タイミング」を見逃さないようにしたいと思う。