アート、農業を遊ぶように楽しむ。そんな空間が北海道長沼町に完成しました。

2人の夢から始まったこの場所は今、多くのアーティストに広がり、様々な活動が行われようとしています。

 長沼町に今月オープンした新しい施設、アートビレッジ「A‐cubic」。

遊びながら農業やアートを体験することがコンセプトです。

 フルート奏者・建築家・畠中秀幸さん
「農園の一角にあるD型倉庫を無期限で貸してもらって、こんな空間ができてうれしく思います」

施設をプロデュースしたのは、右半身に麻痺があり、左手でフルートを演奏する畠中秀幸さん(56)です。

建築家としての顔も持つ畠中さん。

このD型倉庫の改築がはじまったのは、半年前です。

2025年4月。倉庫の中は、農機具が置かれ、薄暗い状況でした。

 フルート奏者・建築家・畠中秀幸さん
「もう美しいですよね、もう荷重がかかって曲がってたりするんですけど、こういうのもすごくいいなと思って」

夢だったという、「農業」と「芸術」を掛け合わせた場所を目指しています。

フルート奏者・建築家・畠中秀幸さん
「演奏行為も農業をやる土を耕すのと同じ、人の心に訴えかけることは同じことだと思っていて、土を耕す、音を耕すみたいな話をしたら、一緒にここでアート活動したいっていう人が集まってくれた」

畠中さんと同じ夢を追いかける人がいます。

農家の永野諭さん(76)です。

 D型倉庫の持ち主で、近くの畑で米や大豆などを栽培しています。

永野さんは、釧路市でサラリーマンとして働いていましたが、50歳の時に長沼町の自然に魅了され、農業を始めました。

農家・永野諭さん
「農業と音楽とか、すごく密接ですから。食は体を作ってくれる、あと心も作ってくれている。音楽は心を育ててくれる」

 ■音楽のチカラと、農業のチカラで人々を笑顔にしたい

この施設では、様々なアーティストによる企画が行われています。

この日は、地元や札幌市の親子が枝豆の収穫体験です。

9月6日。オープンの日を迎えました。

D型倉庫では、入念にリハーサルする畠中さんの姿がありました。

入り口には、地元でとれた野菜がたくさん。

ここでは、音楽などの芸術に触れながら、地元農家が作った野菜を対面で買うことができます。

訪れた人
「(音楽と農業を一緒に体験できる施設は?)初めて。そう来たかという感じで納得です」

農家・永野諭さん
「人が好きなのね。話しをして生き生きコミュニケーションをするのがすごく合っている」
「野菜を売るだけではなく、ものを介在して人とつながる。それが理想だし、夢ですね」

 演奏を聴いた永野さんは…。

 農家・永野諭さん
「(オープンが)やっとこの時期になった。約1年かかっていますから。1つの夢が叶いました。あとはどうやって運営していくか、楽しんでもらえるか」

訪れた人
「360度、音楽に包まれている感じがしてすごかった」
「室内だけど、自然の中で音楽聞いているような居心地のよさ」

 フルート奏者・建築家・畠中秀幸さん
「きょう、客の反応がよかった。みんなニコニコしてくれてて、おもしろかったって」

長沼町に出来た1つの新たな施設。

農家、そしてアーティストの夢は、ここから成長していきます。