買い物や通勤・通学など、私たちの日々の足として便利な50㏄の原付バイク。そこにまもなく、大きな変化が起きようとしています。
・荒木颯太記者
「札幌市東区のバイクショップです。ちょっとした移動に便利な50㏄の原付バイクですが、近い将来、新車には乗れなくなりそうです」
バイクのメーカー各社が50㏄の原付バイクについて、新車の生産を終了します。来月末まで製造するホンダが最後です。
なぜ生産をやめるのか、札幌市のバイク店の社長で全国オートバイ連合会会長の大村直幸さんは。
・全国オートバイ協同組合連合会 大村直幸会長
「排ガスの中のフィルターの数値を見るんですが、その数値が非常に厳しい基準になった。排ガス規制の強化に対応できない」
理由は11月以降に強化される「排気ガス規制」です。
排気ガスをきれいにする触媒を機能させるには一定の温度が必要で、今の50ccの排気量では、新たな基準に見合う温度まで上げるのが難しいといいます。
基準をクリアしようにも多額のコストがかかるため、各社は生産をやめるという判断になったのです。
この動きに、利用者は…。
・原付バイク利用者
「環境の問題だから、われわれがとやかく言える立場ではない」
「結局電動自転車高いし、やっぱりエンジンのある50㏄のバイクがいい、乗ってて楽しい」
ただ、新たな規制はこれまでの原付バイクや電動バイクは対象外です。
また、この動きに先立って、新たな車両の基準も加わりました。それが「新原付」です。
今までの原付は総排気量50cc以下なのに対し、新原付は50ccを超えるものから125㏄以下までのもの、かつ、最高出力4.0キロワット以下の車両です。
この出力が低いことが特徴で、ふつうの125㏄の原付よりもパワーが抑えられ、最高時速も50ccの原付と同じ30キロになります。
これまでの原付免許で乗れるため、今後メーカーはこの新原付の車両を製造することになりますが、販売店からは心配の声も。
・全国オートバイ協同組合連合会 大村直幸会長
「今あるものや海外で売っている125㏄原付に何かしら施してパワーを落とすことになるので、そんなに安いものが出てくるはずもない。みんな細かい、ちっちゃい、こじんまりとしたやつがいいんですよ。置き場も楽なので」
少し複雑な制度で始まる「新原付」。本当の庶民のための足になっていくでしょうか。