天皇皇后両陛下と長女・愛子さまはきょう、長崎県を訪問し、被爆者らと懇談されました。愛子さま同行のきっかけは「次世代に記憶を継承したい」という両陛下の強い思いでした。

長崎市の平和公園に到着された天皇ご一家。原爆の爆心地に建てられた慰霊碑に白い花をたむけ、深々と拝礼されました。

80年前(1945年)、アメリカ軍が長崎に落とした原爆により、およそ7万4000人がその年のうちに命を失いました。

平和公園で両陛下がそろって慰霊されるのは29年ぶり。愛子さまは今回が初めてです。

戦後生まれの陛下は、記憶を次の世代へ継承することに強い思いを持たれてきました。

(今年2月)
「愛子にも、戦争によって亡くなられた方々や、苦難の道を歩まれた方々に心を寄せていってもらいたいと思っています」

戦争を知る世代が少なくなる中、両陛下が大切にされてきたのが、戦争の体験者や「語り部」として活動する若者との懇談です。6月の沖縄訪問には愛子さまも同行し、実際に地上戦を体験した人たちと直接、交流される機会をもたれました。

今回の長崎訪問は、現在発表されている「慰霊の旅」では最後の訪問地です。側近によりますと、今回は両陛下の「次世代に記憶を継承したい」という思いから、愛子さまの同行が決まったといいます。

長崎の「原爆資料館」を初めて訪問された愛子さま。放射線の影響に関する展示では、被爆者らが不安を抱えて生きてきたことなどを説明されると、愛子さまは「心に傷が残るんですね」と静かに述べられました。

そして、ご一家は先ほど、被爆者や20代の語り部と懇談されました。

「ご親戚の方が亡くなられたんですね」
被爆者(101)
「叔母が2人、姪が2人、その場で亡くなりまして、そして遺骨はいまだに見つかっておりません」

ご一家の「慰霊の旅」は、あすも続きます。