罪を犯して服役した人が立ち直り、社会に戻れるように。今年、118年ぶりに改正された刑法の大きな狙いです。高松刑務所で、大学生と連携した再犯防止の取り組みが進められています。

さぬき再犯防止プロジェクトPROSとは…

(受刑者30代)
「僕は2回目(の服役)です、今回。覚醒剤の密輸ですね、はい」

「Q一度入ったけど、戻ってきてしまった、それは何が原因だったと思いますか?」
「流されやすい環境、僕は環境だと思いますね。まわりに悪い人間がいて、そこと仲良くしていたらうまいように扱われたり、いいように扱われたりして、今この現状にいるので。いままでのつながりを全部、出所したら断ち切って、二度と戻ってこないように、悪い人間とは断ち切って、一から頑張っていきたいなと思いますし、戻ってこないようにしようと思いますね」

高松市の中心部にほど近い、高松刑務所です。主に四国から、20歳以上、刑期10年未満の男性約550人が服役しています。

平均年齢は53.7歳。木工、印刷、洋裁などの刑務作業にあたりながら償いと更生の日々を積み重ねます。犯罪を繰り返す傾向にある者を収容する施設で、平均5.7回入所。主に窃盗や薬物だといいます。再犯防止は大きな課題です。

6月、香川大学の学生が縫製工場の見学に訪れました。「さぬき再犯防止プロジェクトPROS(プロス)」という学生団体のメンバーです。出所した人を孤立させないために地域で交流会を開くなど、「居場所と出番」作りに取り組んでいます。

(香川大学法学部教授 平野美紀副学長)
「犯罪をしたこと自体はよくないけれども、そこに至るいろんな背景があることを学生にもっと想像してほしいなと思って。全然考えたこともないような理由とか環境とか価値観とか、共感しなくてもいいんですけど、そういうのもあるんだというふうに受け止めることが視野を広げるし、やっぱり社会全体をよくすると思うので」

PROSは、昨年、高松刑務所などと連携し、受刑者の技術を生かしたエコバッグを企画。大学生協で販売してきました。この日は、改良のための打ち合わせです。学生と、縫製を担当する2人が顔を合わせました。

(学生)
「エコバッグをこうたたんだときにこういうふうにくくる、みたいなイメージなんですけど、どういうたたみ方をしたらいいかなというのをお聞きしたくて」

(受刑者)
「こう1回折ろうか。で、こうやってやったらちょうどスタンプが見えたりとか」「あ~」

エコバッグの折りたたみ方や、くくるゴムの長さ、色など、細かく意見を出し合いました。

(受刑者)
「またこういう機会を通して何かできるものがあればもっとやっていきたいなとも思いましたし」

(学生)
「エコバッグさぬっくを見た人に、どういう思いを伝えたいか?」

(受刑者)
「こういう細かいところをきれいにやっているな、とか。受刑者の人もこういうことができるんや、というのを思ってほしいな、とは。縫い目とかをちょっと見てほしいなとは」