大規模な国際会議などの会場として札幌市が整備を目指す「MICE施設」の新たな計画が明らかになりました。
2033年度の開業が目標ですが、ふくらみ続ける事業費に懸念の声も上がっています。
その必要性を強調する札幌市。
札幌市MICE推進部 高木康文担当課長
「一定の規模・機能を有する新たなMICE施設が必要だ」
「MICE」とは、国際会議や展示会など、多くの集客が見込まれるビジネスイベントのことです。
札幌市は、新型コロナの感染拡大を受け事業を一時中断してきましたが、8日、整備に関する新たな基本方針を示しました。
髙橋智也記者
「中島公園駅近くの札幌パークホテルです。このエリアに大規模な国際会議の会場となるMICE施設が整備されます」
方針では、中島公園そばにある札幌パークホテルの駐車場がある位置に施設を整備。
地上5階、地下1階建て、単独で5000人規模の会議などに対応できるメインホールや多目的ホールを備える想定で、2031年度に着工し、33年度の開業を目指します。
また、パークホテルは2027年に閉館後建て替えられる予定で、MICE施設との一体的な利用を見込みます。
ただ、こんな声も聞かれます。
札幌市 吉岡弘子市議
「物価高騰で市民生活が困窮しているときに、事業費が2倍に増大したまま進めることについて、市民の理解や納得が得られるとは思えません」
事業費は土地の取得費を含めて約592億円。
当然、税金も使われますが、これは当初計画の倍以上になっていて、市民への負担がさらに重くなります。
こうした懸念に対し、市はMICE施設ができた場合、年間約492億円に上る経済波及効果があると強調。
札幌市には白石区にコンベンションセンターもありますが、そうした今ある施設だけではイベントを取りこぼしていたといい、さらに多くのイベントを呼び込みたいとしています。
札幌市は引き続き、設計や運営面でコスト削減を目指す考えですが、市民の理解をどう得るのか課題が残っています。