勢力や最大風速どうやって推定?
さて、続いての疑問ですが、台風の中心気圧や最大風速などは、どのように推定されているのでしょうか?台風の中心が陸上にある時は、アメダスなどの観測データを基に推定されています。しかし、海の上には観測点がほとんどありません。

そのため、気象衛星「ひまわり」の雲画像をもとに、「台風の眼」の周りにある雲の巻き込み方などから過去の台風と照らし合わせて推定しています。

こうした中、台風の雲画像をより鮮明に撮影しようという衛星の開発が東北大学で進められています。宇宙工学が専門の吉田和哉教授らが開発したのは、縦・横・高さが50センチほどの超小型衛星です。

東北大学 吉田和哉教授:
「真下が実際に撮影したい地球がある方向になります。衛星全体の姿勢を調整することによって、望遠カメラの撮影する方向を0.1度くらいで精密に制御するということになります」
気象庁の衛星「ひまわり」は、赤道上空の高度3万6000キロで静止しているため、遠くから一定の角度でしか撮影できません。一方で吉田教授らの衛星は、高度500キロくらいで地球を回っているため、台風の近くから様々な角度で分析することができます。

共同開発した 北海道大学 髙橋幸弘教授:
「(台風が)強い場合は壁雲という、台風の中心の眼が突き抜けて海まで見えるようになる。弱い場合は眼が開いていってそれが埋まるような形になる。これが台風の強さを反映しているので、中心の形をとらえれば台風の強さに関する直接的な情報が得られると考えています」

一方でこの衛星は、高度が低いため地球の重力の影響を強く受け、その場にとどまることができません。このため1つの台風を長時間追い続けるのが難しいことから、吉田教授は、将来的には多数の衛星で列を成し、次々に観測できればと考えています。台風の進路や勢力をより正確に推定できれば、防災情報に活かすこともできます。