2025年は昭和元年から数えて100年目。今回は浜松市で初めて出来たカレーライスの専門店を紹介します。店内はスパイスと昭和の香りが漂っています。

浜松市中央区鍛冶町の裏通りにひっそりと佇む「カレーハウスブータン」。創業は今から62年前の1963年(昭和38年)。店内のカウンターや壁の照明などは改装せずにそのまま。5坪の土地に14席の店内は常連客やSNSを見てやってくる人たちでにぎわいます。

<客>
「先代(の時)から30年以上通っているけど、カツカレーが一番好き。ほどよい辛さで、ほどよい味で」

創業者の孫の佐藤利昭さん(43)。お店を始めたおじいさんの下で1年間修業し、10年前に店を引き継ぎました。

<佐藤利昭さん>
「最初は反対されて、たぶん親心というか、心配してくれて『やめとけ』と言われたんですけど、そこを何とか説得して。おじいちゃんも含めたお店の雰囲気を無くしたくなかったっていう、その思いが強かった」

カレーは全部で6種類。その中でも創業当時から人気の「カツカレー」です。その作り方は昔から変わっていません。

<佐藤さん>
「リンゴ、ニンジン、ショウガ、トマトとソース、チャツネです」

そこにタマネギを加えミキサーにかけます。ブータンのカレーソースの基礎は野菜と果物の甘み。さらに赤ワインを加え一晩寝かせてうま味を引き出します。

<佐藤さん>
「これはホワイトルーですね。小麦粉とラードを混ぜてあるものです。こっちはブランルーで小麦粉、ラードとスパイスが混ざっています」
Q. スパイスは何種類?
「10種類以上入ってます。甘口にはホワイトルーとブラウンルー、辛口にはブラウンルーだけ」

野菜と「あら肉」を煮込んだブイヨン。ブイヨンとルーと野菜ソースを合わせて煮込み、一晩寝かせてカレーソースの完成です。

<佐藤さん>
「(おじいさんは)何かノートにレシピを残してくれたとか、書き記してくれたというわけではなくて、見て覚えろというような感じで、引き継いだ後から記録をとってノートに記して今の形に近づけていった。最初の1年、2年は全然思ったようにならなくて苦戦しました」

ブータンのカツカレーは甘口と辛口、2種類のソースをかけ、カツはやわらかい豚の内モモ肉にこだわっています。小さめにカットされたカツはカレーとごはんも一緒に頬張ることができ最高の一口です。

常連客のおすすめは。

<客>
「全部おすすめなんですけど、僕はキーマ推しです。ちょっとクセになる感じが。それしか食べないです」

一晩スパイスに漬け込んだひき肉にさらにスパイスを加え、辛口のカレーソースで煮込みます。素揚げした野菜の甘みとスパイシーなキーマカレーは相性抜群です。

<佐藤さん>
「毎日食べても飽きないような、お客さんの頭の中にいつまでも残るような、まだ62年なんで100年目指して頑張りたいと思います」

おじいさんが作り上げた味を未来へ。昭和から続くカレーハウスは明日もお腹を空かせた人たちを待っています。

店名の名前「ブータン」の由来は、小さくても王国のように立派な店にしたいと願いを込めて名付けられました。一晩寝かせたカレーソースは営業時間中も煮込まれ続けます。高齢の方も胸焼けしないカレーで、80歳、90歳の常連さんもいます。