
男の子が好きになることが多いヒーローと一緒に撮影した、幼少期のまさきさんの写真。うれしかった反面、友達には絶対に見られたくありませんでした。
【まさきさん】「男の子が好きになるものを、女の子が好きになってるっていうことを周りに知られることによって『すごくあいつは変な奴だ』って思われるんじゃないかっていう意識がすごく強くあった」
さらに、思春期を迎えて起こる女性としての体の変化に対する驚きと嫌悪。就職活動では…。
【まさきさん】「例えば毎日、化粧をして仕事に行かなきゃいけないのかなとか、周りが就活とかでいろいろ会社のどこに行こうとか、そういうことで悩んでる中で、自分は生き方に悩んでいたような感覚でした」
どんなに悩んでも、他人に『性自認』=『自分の性についてどのように認識しているか』を告白することができませでした。極度の緊張の中、初めて告げた相手は両親でした。
【まさきさん】「いざ言ったときのことは、正直もう記憶が飛んでて、覚えていなくて。父親が『男でも女でも、お父さんお母さんの2人の子どもには変わりはない』というような一言を言ってくれて、その言葉だけを覚えている。『この先、自分はもう生きていけるな』っていうことをすごく思いました」
『性自認』を両親に受け入れてもらえた…。まさきさんにとって、その記憶が生きる支えとなっています。
LGBTの課題に詳しく、自身もゲイの黒田隆史弁護士は「身近な人にほど伝えるには勇気が必要」と話します。
【黒田隆史弁護士】「親との関係で、自分を隠すということをずっと続けているところで、何とか安定している人からすると、今の状況を変えるのに対する恐怖感がある」
その後、まさきさんは、戸籍を男性に変えるためホルモン療法をスタート。2年半前にタイで性別適合手術を受け、名前も変えました。

【まさきさん】「周りの人も、例えば何の苦労もなく生活しているように見える人でも、裏では何か大変な悩みがあったりとか、生活する上で大変なことがあったりするのかもしれないなって想像するようになった」
悩み、苦しむ日々を過ごしてきたまさきさん。打ち明ける相手は人それぞれとしながら、話して共感してもらう環境づくりが大切と話します。居場所を提供する事業の対象は、孤立や不安を抱えやすい10代や20代の若い年代です。
【黒田隆史弁護士】「自分を確立していく時期にモデルとなる人がいれば、少しは乗り越えが楽でしょうけれども、自分は大人になって年を取っていくんだというイメージのないまま、自分をつくらなければいけない。若い人にすれば、より居場所が必要だというニーズが強い」
【まさきさん】「誰か1人でもいいから肯定してくれる人がいると、それだけでやっぱ安心できるのかなっていうのがある。ちょっと話をしたり、共感し合える場所っていうのはすごく大事だし、必要なのかなと思いますね」