今年4月、川崎市でストーカー被害を訴えていた岡崎彩咲陽さん(20)が殺害された事件。神奈川県警が捜査の検証結果を公表しました。そこで明らかにされたのは、ずさんな対応の数々です。

「警察の不手際があった」神奈川県警トップが謝罪

ストーカー被害を訴え、殺害された岡崎彩咲陽さんの父・鉄也さん。

彩咲陽さんの父 岡崎鉄也さん
「警察の不手際があったというのは認めた。認めてくれたけども、僕たちはそれで終わりじゃなくて、認めたからこそ、僕たち親族は怒りは余計ある」

神奈川県警 和田薫 本部長
「被害者の女性やその親族からの相談等に対する不適切な対応について、深くお詫び申し上げます」

これまで神奈川県警は、事件対応について「必要な措置を講じてきた」としてきましたが、4日、神奈川県警トップが謝罪しました。

去年12月、20歳の誕生日を迎えたばかりの岡崎彩咲陽さんが行方不明になり、今年4月、遺体で発見された事件。

元交際相手の白井秀征被告(28)が、殺人などの疑いで逮捕・起訴されました。

彩咲陽さんは、去年6月以降、白井被告による暴行やつきまといを警察に相談していました。なぜSOSがありながら事件は起きてしまったのか。

神奈川県警は当時の対応について検証結果を公表。数々のずさんな対応が明らかになりました。

「危険性・切迫性を過小評価」神奈川県警のずさん対応明らかに

1つ目のポイントは、去年10月、彩咲陽さんが姉のマンションにいたときのこと。

岡崎彩咲陽さん
「居間の扉を開けると、廊下に白井被告がいた」

防犯カメラには、白井被告がフェンスを乗り越えて敷地に侵入する様子が写っていました。

さらに11月にもつきまとい行為があり、警察はストーカー規制法に基づく禁止命令などを出すことも検討。しかし、2人が復縁の意思を示したことから、警察は事態は収束したと判断しました。

報告書では、この判断がそれ以降の不適切な対応につながったと指摘しました。

神奈川県警の報告書より
「警察署内にトラブル事案は一旦、収束・解決したという先入観が形成された」

2つ目のポイントは、彩咲陽さんが行方不明になる直前に出していたSOSです。

親族が保管した彩咲陽さんの通話記録によると、彩咲陽さんは去年12月、「白井被告がうろついている」などと川崎臨港署に9回にわたって電話していました。

彩咲陽さんが避難していた祖母の家の前に、白井被告とみられる人物がうろつく姿も確認されています。

当時、一緒にいた友人はこう話していました。

彩咲陽さんの友人
「(警察に)通報しました。『いるから早く来てほしいです』と言っても来ない。(警察が来たのは)40分〜45分後とか、近いのに」

しかし、警察は電話の内容の記録すらしておらず、報告書はこう指摘しています。

神奈川県警の報告書より
「担当した警察官全員が、危険性・切迫性を過小評価した」