住宅街などにクマが出没した際に、市町村の判断で猟銃の使用が可能になる改正法が1日施行されましたが、石川県内では8割近くの市町が当面は制度を運用できないことが分かりました。

金沢市の住宅街近くに出没したクマ=2019年

クマの出没をめぐっては、これまで住宅密集地での猟銃の使用が禁止され、人に危害が及ぶといった緊急時に限って警察官の命令で猟銃の使用が認められていました。しかし、市街地への出没が相次ぎ、より迅速な対応が求められることから、1日、改正鳥獣保護管理法が施行され、一定の条件を満たせば市町村の判断で市街地でも猟銃の使用が可能になりました。

新たに可能になった「緊急銃猟」の制度について、北陸放送が石川県内19の市町に取材したところ、施行と同時に制度の運用を始めたのは金沢市、小松市、白山市、能美市の4つの市にとどまり、残る15の市町は当面、制度を運用できないことが分かりました。

自治体の担当者は、「ハンターが確保できていない」や「猟友会など関係機関との調整が整ってから運用を始める」などとしています。またクマの目撃件数が比較的少ない能登地方の自治体からは「目撃情報がほとんど無いため他の市町の動向を見て運用自体を検討する」といった回答もありました。

緊急銃猟を想定した訓練=8月

石川県は運用に必要な装備品の購入を支援したり、ハンター向けの講習会を開いたりして、緊急銃猟の制度運用を支援していきたいとしています。