皆既月食はどのように起こる?

ー皆既月食は、どのように起こるのでしょうか。

「皆既月食は、月が地球の影にすっぽり入り、太陽光があたらなくなることで発生しますが、月が全く見えなくなるわけではありません。

地球の大気をかすめるように通った太陽光が、月を照らすことで、皆既月食中の月は、うっすら夜空に見えます。地球の大気を透過する太陽光のうち、波長の短い光(青い光)は、地球大気に散乱され、進行方向を変えてしまいます【画像④】」

【画像④】作図:米田瑞生さん

「一方、波長の長い光(赤い光)はまっすぐ大気中を進みやすいため、地球を通過後、月に届きやすい性質があります。ですから、皆既月食中も月は、赤茶色に見えます。

夕日は、赤く見えますが、月が夕日に照らされている状態に近い状態が発生するわけです。逆に空が青いのは、上空を通過しようとした太陽光のうち、大気に散乱されて青い成分が直進できず、進行方向を変えて我々の目に入るためです。色によって、散乱の度合いが変わるレイリー散乱という現象です」

ー今回の皆既月食は、どんな風にみえそうですか?

「今回の皆既月食は、高度が低い状態で発生します。もともと赤っぽい皆既月食の光が、更に地球の大気を長く通過するため、夕日のように赤みを強める可能性があります。前回の皆既月食より、さらに赤味を増すのではないでしょうか」