田中は1500mで日本人唯一の3分台(3分59秒19)の日本記録を持ち、東京五輪では1500m8位に入賞した。今年7月の世界陸上オレゴンは世界陸上日本人個人最多の3種目で奮闘し、5000mは12位に入った。田中とプリンセス駅伝1区区間賞の川口桃佳(24)が登場する前半は、豊田自動織機が“台風の目”となる。
田中が駅伝を苦手とした理由は?
トラックの活躍からは想像しにくいが、田中は駅伝の快走があまりない。そもそも昨年まで同志社大に通ったが、学連登録はしなかったため単独チームでの駅伝出場は4年間なかった。都道府県チームの戦いである全国都道府県対抗女子駅伝は、学生時代に3回走ったが1年時区間11位、2年時区間2位、4年時区間2位と区間賞を取れなかった。2年時は廣中璃梨佳(JP日本郵政グループ・22)、4年時は五島莉乃(資生堂・25)ら区間賞選手が強かったとも言えるのだが。
「(トラックシーズンは良くても)駅伝の時期になると調子が落ちてしまって体がついていきませんでした。心と体が整理できない状態です。自分の走りも(選抜チームなので)他の人もわからないまま、駅伝を走っていたのだと思います」
しかし今回のクイーンズ駅伝は違う。愛知県を拠点に活動する豊田自動織機本隊とは別に、後藤夢(22)と2人で兵庫県を拠点に活動するが、気持ちの面ではチームに溶け込んでいる。「チームのみんながどういう取り組みをしてきたか、1年間見てきています。だから今回は、久しぶりにお互いのことをわかった感覚で走る駅伝なんです」
意識的に交流の場を設けているわけではないが、同じ大会に出る機会は多い。短期間ではあるが全日本実業団陸上や、クイーンズ駅伝前の合宿で寝食をともにした。おそらく、田中はチームメイトの大まかな練習内容や戦績、レース後のコメントなども把握している。
本隊選手たちも、世界陸上代表として戦う田中にエールを送ってきた。「たまに合流すると明るく迎え入れてくれますし、私の活動を尊重してくれています」と田中。「オレゴンのときはみんなで応援動画を作って送ってくれました。そういった動画はみんなで話し合わないと作れません。私のために、みんなが時間を使ってくれたことがうれしかったです」
駅伝の時期になると調子が落ち、それが「チームの足を自分が引っ張るのでは」というプレッシャーになり、それが調整練習を狂わせる一因にもなっていた。今年も状態としてはベストではないが、チームメイトへの信頼感が自然と生じている。今年の田中は調整練習に集中できる環境になった。














