「日本のロックを定着させるから、力を貸して」

矢沢のライブは幅広い世代のファンが詰めかけることで知られる。インタビューでは、そんな今のライブについての思いも語られた。
「会場が面白いです、年齢層がバラバラで。パフォーマンスとか汗とか、心の部分は誰が見ても変わらない。60歳が見ても20歳が見ても、伝わるものは伝わると信じたい」としみじみ語った矢沢。だが、かつては熱狂的なファンが多く詰めかけ、ライブ中に客席で暴動が起きることもあったという。
そんなライブを開かれた場に変えたのも、矢沢自身の意思だった。矢沢は「僕はどちらかというと、『酒飲んでロックで盛り上がるなんて最高じゃない?』っていうタイプだったんです」という一方で、当時「ライブに行きたくても行きにくい」というファンの声も大切にしたいと、頭を悩ませた。
スタッフと相談した結果、矢沢は飲酒やコールなどを禁止する独自ルールを設定。古参ファンからの反発は小さくなかったが、「新しい扉を開けるから、力を貸してほしいんだ、といろんなお願いをしました。日本のロックを定着させるから、力を貸して」と客席に訴え続けたという。その思いを貫いた結果、「だったらライブに行きたい、行けるっていう人が増えてきたんです。だんだんそれを拍手してくれる人が増えてきた」。こうして、さまざまな世代が集まる開かれたライブスタイルが形成されていった。














