「“この時代が来てる”という勘。それに乗りたい」

 新アルバムのリリース直前、9月14日には、76歳を迎える矢沢。日本武道館での公演157回は史上最多、東京ドームでの日本人最年長公演など数々の記録を持ち、今年デビュー50周年を迎えても、変わらず情熱の炎を燃やし続けている。

 そんな矢沢、インタビュー冒頭から「僕も50年続けられると思っていなかったんですよ。ただ『ワオ!50年やってるよ』みたいな感じ。街から街へライブやって、酒飲んで、またライブやってたらあっという間でした」と“YAZAWA節”をきかせる一方で、常識を打ち破ってきたビジネスマンとしての顔も覗かせた。

 例えば、矢沢のライブでおなじみのタオル。フェイスタオルだけでなく、矢沢自身もステージ上で肩にかけている大判のロゴ入りバスタオルも必須グッズの一つだが、「最初は僕専用の汗拭きタオルだったんです」「僕、汗っかきなんですよ。ステージをやると汗だくになります。普通のタオルだと小さいからバスタオルで拭いて、面倒だから肩にかけていたんです。それを見たスタッフが『ボス、タオル掛けて歌ってるザマ(姿)が良いです』と言ってくれた」と、バスタオルをグッズ化するに至った意外なきっかけを明かした。

 さらに、コロナ禍で急速に普及した電子チケットも約10年前に導入していたという。「デジタルで通知・確認できる時代が来るって聞いた時に、絶対やるべきだと思いました」と語り、「携帯サイトも、最初に手を出したのは矢沢なんですよ。(スタッフに)『世の中がそっちのほうに動いてるらしいんですけどボス、どうします?』と言われたら『いいね、面白いね』ってすぐ乗っちゃう。面白がっちゃうんですよ」「この時代が来てるんだなという勘。それに対しては乗りたい」とも。時代の流れに対する感覚の鋭敏さを覗かせた。