「家族みんなで旅行に行きたい」――。人工呼吸器や胃ろうなど、日常的に医療的ケアを必要とする子どもたちとその家族の願いをかなえる2泊3日の温泉旅行が、大分県九重町で実現しました。支えるのは医師や看護師、そして同じ思いを持つ家族たちです。
結婚以来の温泉旅館
医療的ケアが欠かせない子どもたちにとって、宿泊を伴う旅行は大きなハードルです。そうした家族に旅行を体験してもらおうと、支援プログラムが8月15日、大分県九重町の宝泉寺温泉の旅館で実施されました。企画したのは福岡のNPO法人「にこり」。医師5人と看護師が協力し、福岡や大分などから6組の家族が参加しました。

NPO法人にこり 上田華奈理事長:
「電源がなくても酸素が使えるように酸素ボンベを準備しています。緊急用のAEDや心臓マッサージの板も念のためたくさん持ってきています」
大分市の岩本さん一家も、千花ちゃん(12)と初めての温泉旅行に参加しました。千花ちゃんは生後2か月のころ、細菌性の髄膜炎を発症し、寝たきりの生活に。胃ろうでの食事や定期的な痰の吸引が欠かせないため、家族みんなで出かける機会はほとんどありませんでした。

母・奈妙さん:
「私がつきっきりなので、両親そろって一緒に出かけるのは正直難しいですよね」