再犯を防ぐには?

 Q2022年の判決で「思考の歪みは顕著である。再犯が強く危惧される」と指摘されているが?

 「初犯であり傷害罪なので執行猶予になったとは思いますが、裁判官は迷ったのではないかと思います。そうであれば、『保護観察付き執行猶予』ということもあり得たと思います。保護観察というのは、執行猶予期間中に、月に1回保護司と面談して生活状況を報告したりする。そこに繋げてもよかったのかなと今になっては思いますが、なかなかリアルタイムの判断としては難しかったのかなと」

 Q他に再犯を防ぐアプローチは?

 「弁護人として弁護するときにはこういうアプローチをこれからとっていきますという道筋を準備します。それを評価してください、社会で更生できますと。刑務所に行くと人間関係が切れてしまい再犯してしまう人もいるので、道筋をつけた上で判決を求めるというのは弁護活動としてはあります」

 「しかし、社会の制度の中で保護観察以外で執行猶予になったときに『ここに行きなさい』というのが今あるかというとないです。その辺りはこれから議論が深められていく。ちなみに刑務所に行く場合でも拘禁刑に変わり、より教育的な側面が重視されるようになっています」

 Q国民感情と乖離があるような気もしますが、専門家の立場としてどう考える?

 「いかにして社会と繋がっていくのかということが、犯罪を犯した人にとっても周りにとっても重要で、制度的に議論していかないといけない。刑務所に入ることだけが選択肢なのか、それとも社会の中でいろいろなサービスを受けながらやっていくのか。ともすると、犯罪を犯していなくても犯罪を犯しそうだから刑務所に入れてしまえ、みたいな話にもなりかねないので、バランスをとっていく必要があると思います」