
今月10日からの記録的な大雨は、熊本県内第2の都市・八代市の市長選挙にも影響を及ぼしています。
復旧作業が続く中で有権者の選択とは――

イグサ農家 田淵稔さん「だいたい52cmから55cmくらいのところが水没してしまった」

こう語るのは八代市でイグサを生産する田淵稔さんです。記録的な大雨で水路が溢れ、倉庫が水没しました。

イグサ農家 田淵稔さん「完全に廃棄です。少しでも、湿気でも吸い込んでしまうと色が変わる」

刈り取ったイグサを畳表に加工しようとした矢先の大雨でした。

分かっているだけでも被害は生産量の15%ほど、金額にすると300万円に上ります。
イグサ農家 田淵稔さん「今年のイ草はちょっと少な目の収量だったので、今年は我慢しながら、節約しながら食べていけば、1年繋げるかなと思っていた時ですよね。被害は意外とききました」

加えて、近年、畳表の需要は減少傾向で、県によりますと、県内のイグサ農家は、ピーク時の4分の1にまで減少しています。
田淵さんは「単価が低いにも関わらず、機械や肥料の価格は高騰し、時給に換算すると500円程度」と苦しい状況を明かします。

イグサ農家 田淵稔さん「使命感というかそういう方ばっかりが残っているんじゃないでしょうかね。理屈じゃない。ただつなげていく。続けていく。イグサを絶やしたくない。その使命感だと思います」

田淵さんは、今回の大雨で農業から離れるイグサ農家が増えることを危惧しています。日本一のイグサの産地、八代市の次のリーダーには、農業機械への補助やイグサの価値を高める商品開発への支援を期待します。
八代市長選挙はこういった中で始まったのです。

現職市長のため、大雨への対応もある中村博生候補(66)は、街頭演説の回数を減らし、選挙カーで市内をまわって多くの有権者に会う戦略です。

同行するのは、自民党所属で地元選出の国会議員や県議会議員の面々。
今月24日の告示日に立ち寄ったのは、大雨で裏山が崩れた地区でした。
髙野洋介 県議会議員「道は通れるようになったでしょう?」
無・現職 中村博生候補「なった」
髙野洋介 県議会議員「よかったです」
金子恭之 衆議院議員「国もしっかりやりますから。国・県・八代市です」

大雨からの復旧を1番の争点に挙げる中村候補は、国・県との連携・信頼関係があるからこそ、災害への対応がスピード感を持ってできるとアピールします。
無・現職 中村博生候補「災害が起きた段階でいち早く、復興予算をつけて頂いているのが国会議員・県議。こういった連携が取れている。これこそよく言われるチーム熊本なんです」
その上で市政の継続を訴えています。

一方、元副知事で新人の小野泰輔候補(51)は「自分の考えを直接伝え、支援の輪を広げたい」と、これまでに個人演説会などで「1000人以上の市民と意見を交わした」と自信を覗かせます。

さらに、陣営関係者は「市長選の経験者や野党系を中心とした八代市議も応援に回っている」と話します。そんな小野候補が第一声の場所に選んだのは、大雨の被害が甚大だった千丁町でした。
無・新人 小野泰輔候補「国政や副知事の経験を通じてたくさんの繋がりがあるので、八代がいち早く復旧するために必要なことを市長としても矢継ぎ早に実行していきたい」

国政の経験を生かし「異常な気候変動に対応するため、農林水産業の予算の拡充や制度の新設を国に要望する」と語った上で、「市政の刷新」を訴えています。
無・新人 小野泰輔候補「子ども達のために誇れる八代を残していけるのか。それとも今のように行政に対する不信、政治に対する諦め。こういったものが渦巻いている八代のままでいいのか」
八代市長選挙の投開票は今度の日曜日31日です。














