“アート県”として知られる香川県。高松市には「船の体育館」と呼ばれる旧県立体育館があります。耐震性を理由に解体が予定されていますが、「解体」か「再生」か…。名建築をめぐり、様々な声があがっています。

世界注目“名建築” 解体か再生か

まるで船を思わせるような曲線的なデザイン。屋根の両端は大きくせり出しています。

“アート県”として知られる香川。その高松市にある旧県立体育館です。世界的な建築家・丹下健三が設計し、1964年に建てられました。

特徴的な形から「船の体育館」と呼ばれ、長年親しまれてきましたが…

香川県 池田豊人知事(7月22日)
解体以外に現時点ではない」

県は約10億円の公費をかけて解体を決定。

一方、民間団体は建物の保存を訴えています。

旧香川県立体育館再生委員会 長田慶太委員長
「日本の歴史としてつないでいく意味が、こういう建物を残すこと自体に存在する」

こうした声は、アメリカの名門ハーバード大学大学院やニューヨーク近代美術館からも…

ニューヨーク近代美術館の嘆願書より
「香川県立体育館を失うことは、アイデンティティ経済的原動力大きく損なうことになる」

20世紀の建築遺産の保存活動を行う国際学術組織は、県を訪れ、再考を求めました。

DOCOMOMOJapan 鰺坂徹代表理事
やっと(保存が)実現するような形になってきて、それを検討した案ですので、門前払いだけはしないでいただきたい」

世界からも注目される船の体育館。何が起きているのでしょうか?

戦後の日本を代表する建築家・丹下健三。東京都庁舎や広島の平和公園を設計し、1964年の東京オリンピックに合わせて建てられた国立代々木競技場は、世界的に高く評価されています。

代々木競技場と同じ年に建てられたのが、船の体育館です。屋根をケーブルでつり上げ、柱のない広い空間を実現しました。

文化的価値が高いと評される一方で、2014年耐震性を理由に閉館。利活用の方策も慎重に検討しましたが、実現に至らず、県は解体することを決めました。