新型コロナは再び感染拡大局面に入りましたが観光業界では、インバウンドの回復に大きな期待を寄せています。そうした中、山口県内でもこの機会を逃さぬよう、動きが始まっています。県内有数の温泉地がある長門市では、地元の旅館関係者が海外に、直接魅力を伝え観光客を呼び込もうと取り組みを進めています。ターゲットは…台湾です。

台湾出身インフルエンサー・マチさん
「ここは2020年にリニューアルされて、竹林とライトアップを加えて新しく生まれ変わりました。ここで歩きながら新しい温泉街を楽しみに行きましょう」
新型コロナウイルスの水際対策が緩和された10月。長門湯本温泉では撮影が行われていました。インバウンドの回復に向け、長門市の魅力を動画で発信しようというものです。ターゲットとしたのが台湾。台湾出身のインフルエンサーマチさんが紹介します。

マチさん
「台湾の90%ぐらいの人が日本が大好きで、日本にも近いし、欧米より近いしそんなに旅行代とかもかかったりとかではないので、みんなとても大好きですね」
マチさんは、大学卒業後、日本に移住しました。現在は、東京の企業に勤めながらSNSで日本の文化や観光地の魅力を発信しています。
ながと国際観光推進協議会会長・油谷湾温泉ホテル楊貴館 岡藤明史取締役
「今回台湾っていうのは、一つは非常に親日の国である事と、長門市が台湾といろんな連携をしていることもあって」
この事業を進めるのは市内の旅館関係者などでつくる「ながと国際観光推進協議会」。今年6月、観光庁の観光支援策「看板商品創出事業」の採択を受け、市と連携して取り組んでいます。目指すのは1日でも長く、市内に滞在してもらえるツアーを商品化することです。事前に台湾出身の人に市内をめぐってもらい、アンケートを取りながら観光ルートを作成。長門湯本温泉を起点に、油谷湾温泉や俵山温泉をめぐり温泉や食、文化を体験するモデルコースを動画で紹介します。

岡藤会長
「山あいの方だけ、温泉地だけではなくて、ここはしっかりと周遊できる。点と点が線につながって、面になっていく、これが実は長門市らしいプロモーションなんじゃないかと」

長門湯本温泉では、浴衣で温泉街をめぐり…川床で食事を楽しみ…油谷湾温泉では、イカの生き作りの実演、県内の日本酒がそろった「日本酒BAR」。世界的に有名になったあの観光地ももちろん盛り込まれています。
マチさん
「やっぱり台湾の方はみんなインスタ映えの写真を撮ったりするのが好きですので、きのう行った神社、たくさん並んでいる神社に行ってとってもインスタ映えだなと思って、あそこは本当におすすめと思います」
インバウンド市場は活況を呈しつつあります。長門市の事業は、外国人観光客の旅行予約サービスを提供する東京の企業に委託されています。その企業も国内の入国制限が緩和された10月以降の伸びを実感していると言います。
WAmazing・地域連携部 古賀裕士さん
「メディア(サイト)に流入してくるお客様の数は、コロナ前の水準を超えて、日に日に予約の方も入っておりまして、まだまだこれからかなり伸びてくるのではないかと思っております」

長門市を訪れた外国人観光客はコロナ禍前、2019年でおよそ1万3065人。国別に見ると、台湾は韓国に次いで2番目に多い3943人です。全体の3割を占めています。最も多かった韓国は、日韓関係の悪化の影響を受けています。2019年冬から山口宇部空港と韓国の間の定期便は運休が続いてて早期の回復は見通せない状況です。そうした中で狙ったのが台湾でした。しかし、クリアしなければならない課題もあります。
岡藤会長
「今、長門市というのは、ほとんどの方が自動車で来られる形なんですけど、それがバスだったりJRだったり、いろんなスタイルで来れるそういう環境整備っていうのは今から考えていく必要がある」
コロナ禍前、海外からの観光客は、貸し切りバスで移動する団体客がほとんどでした。しかし、コロナ後は個人旅行が中心になると予想されています。市内をどのようにしてめぐってもらうか。交通機関の利便性を高める必要があります。
協議会では12月中旬、台湾の旅行会社5社とオンラインで商談会を計画しています。制作した動画で長門市をPRします。
岡藤会長
「どういう食の魅力、温泉の魅力、自然の魅力、人の魅力っていうのがあるのかっていうのを、正しくお伝えすることが大事だと思う。来る前にここに来たくなって山口県に来て頂く、その流れをしっかり作っていきたいなと思いますね」
インバウンド再開に期待が膨らむ観光業界。全国で誘致が活発です。個人の旅行客をどう呼び込むのか。世界が動き始めた中で模索も始まります。