新米の「値下げ効果」もなく… “二極化”コメ価格の出口は

8月末で、販売を終えるはずだった備蓄米。ところが、契約済みの3分の1にあたる10万トンがいまだ出荷できていないのです。

農水省によれば、遅れの主な要因は、3、4年前に収穫された古い備蓄米の品質確認をする手間です。「メッシュチェック」と呼ばれる、金網に玄米を通す作業。カビが付着して固まったコメなどを除去しますが、この作業が追いついていないといいます。

結果的に、備蓄米の販売期限を延⻑せざるを得なくなった農水省。そもそも、なぜ「8月末」が期限だったのか。当初、小泉大臣はこう話していました。

小泉進次郎 農林水産大臣
「(コメを)ジャブジャブにしていかなきゃいけない。そうじゃなかったら価格は下がらない」

まずは、市場にコメを溢れさせることで、価格を引き下げるという戦略。そのうえで、秋から出回る新米の価格が下がりすぎないようにするため、「8月末」という期限を設定していたのです。しかし、新米が出回り始めた今、現状の価格はというと...

山菊米穀店 雨間瑞秀さん
「これが(令和)7年産の新米。去年よりは結構高いですね」

去年より1200円値上がりし、5キロで5000円に迫る銘柄も。新米を含む銘柄米の平均価格は、4239円と高止まり(8月4日~8月10日)。備蓄米で市場をジャブジャブにすることで期待された「値下げ効果」は、みてとれません。

そんな中、備蓄米の販売期限の延長という政策転換。小泉大臣の思惑は外れたのでしょうか。

小泉 農水相
「もともと8月末までのものなので、これで『随意契約の備蓄米はやめます』と言ったら、さらなる高騰のトリガー(引き金)を引いてしまう」

備蓄米と銘柄米、しばらくは選択肢が残された形。

備蓄米を購入したお客さん
「(備蓄米は)値段も魅力だし、(販売)期限までは、もしあれば買おうかな」
新米を購入予定のお客さん
「次は新米にしようと思って、やっぱりコメおいしい方がいいじゃないですか」

価格が二極化する中、いずれは底をつく備蓄米。コメ騒動に出口はあるのでしょうか。