働く高齢者が増えてきています。労働力調査(基本集計)によりますと、65歳以上で働いている人は、2011年は約571万人だったのが、2021年は約909万人と、10年間で約1.6倍に増えているということです。そんな中で今回、取材班は介護施設で勤務する91歳の職員を取材。70年間にわたり働き続ける理由を聞きました。
91歳の介護職員…週3回勤務・片道1時間かけて職場へ
京都府木津川市にある「山城ぬくもりの里」。デイサービスや特別養護老人ホームが設置された福祉施設です。
職員の細井恵美子さん、91歳。利用者の平均年齢87歳よりも年上です。この施設で週3回勤務しています。
(細井恵美子さん)
「お金ではないものがあると思うんです。働くことによってみんなの笑顔が見られたりね。喜び方って人それぞれかなと思うけど、私自身はそういうふうに最後まで生きていきたいし、生き抜きたい」
91歳。今なお働き続ける細井さんの生き方を見つめます。
京都府宇治市に住む細井さんの自宅から職場までは電車で約1時間。勤務の日は朝6時に起床します。朝食の定番は和食です。
(細井恵美子さん)
「食べないとね、やっぱり。どっちかいうと朝は干物。このごろは手間かけなくてもすぐに焼けるでしょう」
ひとり息子が引っ越ししてからは気ままなひとり暮らし。ごはんに汁物、おかずに果物。ひとり分の朝食を手際よく準備していきます。
(細井恵美子さん)
「(Q朝起きて最初に何をしますか?)身体を伸ばして、寝巻きのまま新聞を取りに行って、ちょっとお化粧して。お化粧ほどのお化粧でもないけど。(Q仕事行きたくないなと思う日はありますか?)ううん、仕事の日はそんなの思わない」
毎朝、家をきちんと片づけてから出発。91歳という年齢、元気に出勤して何事もなく帰宅するという日々が当たり前ではないと感じています。
(細井恵美子さん)
「途中でどこで倒れるかわからないからきちっとしていかないと。朝は気を使います」
駅までは徒歩15分ほど。2年前に足を骨折してからはタクシーで移動しています。職場の最寄り駅は階段しかないため1つ前の駅で降ります。そこからは同僚の車で向かいます。こうしたサポートも受けながら片道1時間かけて出勤しています。