今後の生き方について娘とした3つの約束

加藤さんは「今後、どういう風に生きていったらいいのか」、みささん【画像㉜】の墓前で約束を3つしました。
(加藤裕司さん)
「1つは『犯罪を生まない社会に貢献をする』ということ。2つ目は『犯罪被害者とその家族と直接支援を行っていく』ということ。だから、『犯罪被害者の経済的支援のための基金作り』、この3つを娘と約束しました」
「『どうやって犯罪を防ごう』、と一生懸命考えるのは当然大事なんですけども、狙われたら防げないんです。特に性犯罪なんか多いですよね。70%が性犯罪ということで、狙われてる人っていうのは『狙われる』とほとんど思ってないんです」

「ところが狙う人は、ターゲットを絞って攻めてくわけですから、勝ち目がないんです。だったら、スタンガンを持つとかいろいろ対策があるかもしれませんけど、それでうまいこといくとはなかなか思えない」
「『じゃあ、どうしたらいいのか』ということは、犯罪に向かう人たちを減らす、そっちに行く数を減らすしかないんだと思ったんです」
「アメリカのデータですけども、アメリカでは『未成年が銃で何十人も打ち殺される』という事件がしょっちゅう起きてますよね。そういう人たちを調べたら、全員がそうではないけども、約50%の人が『3つの項目』が重なったときに事件を起こしているんだということがあるそうです。これが日本にそのまま当てはまるかどうかは分かりません」
「要は、『脳の中の前頭前野から偏桃体に至るプロセスが壊れている』、『認知と判断ができない、そういう遺伝の資質を持った親から引き継いた子どもたち』。もう1つは『幼少期の身体的、あるいは精神的な虐待』、この3つが重なったうちの人の50%が、そういう事件を起こしてたということでした【画像㉞】」
「1番、2番っていうのは現代の医学では回復できませんよね。残念ながら・・・。だけども3番目はできるんです。幼少期の虐待だとか精神的ないじめだとか」

犯罪を生み出す要因 「学校の仕組み」「分からないふり」
「幼少期の身体的・精神的虐待」が多いのは、学校でのいじめであると加藤さんは話します。
(加藤裕司さん)
「特に小学校、中学校。小学校、中学の先生には悪いですけども、ほとんどの先生が生徒たちをしっかり見てないなって。学校の先生に能力がないのではなく、学校の仕組みがそうさせてる」

「ものを教えるのは、いま塾の方が優れていると思いますよね。要は、『人として育てていく』のが学校の先生の役割ですよね。われわれ日本の将来を担っていく若い世代がまともに育っていただくために教えるのが学校の先生です」
「やっちゃいけないこと、やらないといけないこと、守らないといけないこと、そういう道徳的なことをきちんと教えるのが学校の先生です」
「ところが、ほとんどテレビ、マスコミで出てくるのは『我が校にいじめはなかった』と。生徒が自殺したりしても。そして1週間もたたないうちに校長先生が出てきて、『やっぱいじめがありました』と教育委員会から言われて前言をひるがえすんです」
「生徒が一生懸命に日記に応援のメッセージを要請してもスルーしてますよね、ほとんど。なんでそんなことするのか。わずらわしいからですよね」
「私は、学校の先生は生徒の親だと思ってるんです。父親であり、母親である。それが学校の先生。この子は何かちょっと生活態度がおかしいなとか、考え方がちょっとおかしいなとかいうことを毎日接してる先生が気づかない、分からないはずがないんですよ。分からないふりをしているだけです」
「子どもたちも、本当にコミュニケーション能力というのが磨かれてないという気がするんですよね。ものには向き合えるけども、人には向き合えない。どうしてそういう子になるのかというと分かりませんけど、必ずいます」
「大学っていうのはずるいですからね。そういう子たちは数年後いなくなるっていうことで、1割り増し、2割り増しで、生徒はとってます。責任を持ってこの子をなんとかしてあげよういう発想は1つもないですよね」
「(子どもは)家に帰る、ネットを見る、あるいは漫画を読む、そんな形で言葉が発揮できなくなる。先生は、そういう子たち分かるはずなんですよ。だったら、その子の父代わりを務める必要がある。そのために学校の先生になってて、一人一人と向き合うんでしょ、というのが私の考えです」

「そういうことを学校の先生がやってくれたら、少しは犯罪にいく側が減るんじゃないかなと私は思ってます。これが合ってる、合ってないかは分かりません」
「学校の先生もかわいそうで、さっき言ったように、もういろんな仕事を背負われて、できてたとしてもできないような仕組みになってしまってる、そんな気がいたします」