「空き家」の放置が社会的な問題となる中、福島県白河市で空き家を解体する「行政代執行」が行われました。
白河市の中心部にある木造2階建ての今にも崩れそうな店舗兼住宅。屋根は崩れ落ち、壁にも亀裂が入っています。市によると、この空き家は築100年以上で、およそ30年前から営業していません。倒壊し、周囲に危険が及ぶ恐れがあるとして、白河市は3年前に「空き家等対策特別措置法」に基づき、「特定空き家」に認定しています。
白河市 建築住宅課・太田悟課長「空き家等対策の推進に関する特別措置法及び行政代執行法に基づき代執行を行います」

市では、これまで所有者に助言や指導などを含め、解体を求めてきましたが、「経済的な理由」で期限までに改善がなされなかったいうことです。このため、市では、このまま放置すれば倒壊し周囲に甚大な被害が及ぶ恐れがあるとして、20日から行政代執行を開始。所有者に代わって建物の解体に着手しました。

特定空き家に対する行政代執行は、去年行われた只見町に次いで県内2例目で、白河市では初めてです。20日は、本格的な取り壊しを前に、建物の中に残ったものを運び出すなどの準備作業が行われました。
太田課長「近隣の住民や通行者の安全を配慮し、優先して苦渋の決断として代執行に至った」
建物の解体は9月末までを目指し、解体にかかる費用およそ420万円は、一旦市が立て替えたあと、所有者に請求することになります。

県内では、住宅に対する空き家の割合は、30年前のおよそ2倍となる15.2%で、全国平均の13.8%を上回っていて、空き家の対策や利活用が課題となっています。白河市では、この他にも10軒が放置すれば危険な状態となる恐れがある「特定空き家」に認定されていて、それぞれの所有者や相続人などに対して指導や助言を行っているということです。