公園や駅前に置かれた裸婦像を「公共の場にふさわしくない」として、撤去する動きが出ています。現場を取材しました。

「地域の発展を願った銅像なのに」 移転決定で作者は怒り

山形純菜キャスター:
公共の場にある裸婦像については、さまざまな受け止めや意見があると思います。

静岡駅前にある、巨匠・ルノワールの「勝利のヴィーナス」「洗濯する女」という2つの銅像について、市長が「時代にそぐわない」として移設を検討しているとのことです。

また、香川のある公園にある「女の子・二人」という銅像については、8月下旬に移設が決定しているとのことです。

こういった撤去の動きについて、世界の銅像を研究している亜細亜大学の高山陽子教授は、「公共の場にあることの影響を幅広く考慮することが大切です。(性的な表現も含め)市民の理解があれば移設の必要はないのではないか」としています。

なお、海外の裸婦像はどうなのか聞くと、公共の場にはほとんどないとのことです。

そして、今回移設が決まった香川の「女の子・二人」の作者である彫刻家・阿部誠一さんは「地域の発展を願った銅像なのに、なぜ移転するのか。そのまま残してほしい」と話していました。自治体からは話がなかったとのことで、怒りの感情も湧いているようです。

井上貴博キャスター:
もちろん、裸婦像にアート・芸術としての価値はある。一方で、それを公共の場に展示することに違和感がある気持ちも、時代的にはわかる気はします。

しかし、どういう変遷をたどっていくか、「こういう意味でこの像がここにあるんだよ」と子どもに伝えていくことも教育ではないかと思います。

東京大学 斎藤幸平 准教授:
裸の像に限らず、たとえばアメリカでもコロンブスの銅像は「侵略者だからなくしていこう」とするなど、時代と共に価値観が変わっていくことはあると思います。

そもそも「平和だから女性の裸の像を建てよう」という発想自体が安易です。

井上キャスター:
別に、男性の裸が平和の象徴でもいいわけですしね。

東京大学 斎藤幸平 准教授:
かつての女性を対象として見るような、ジェンダー的に問題があるような価値観に根づいているとすれば、アートとしての価値も下がってくると思います。

出水麻衣キャスター:
「どういった経緯で」というところも、きちんともう1回学び直すことも大事ではないでしょうか。