新型コロナよりはるかに高い感染力

行政が施設名を公表し注意を呼びかけているのには理由がある。いったい、どんな感染症なのか。

はしかは、接触感染、飛沫感染に加え、空気感染するのが特徴で、新型コロナウイルスやインフルエンザに比べ、はるかに感染力が高い。

福岡県医師会の常任理事で、医療法人ISCいなみつこどもクリニック院長の稲光毅医師はこう説明する。

稲光毅医師
「接触感染や飛沫感染が、対面で一定の時間話をした場合に感染するのに対し、空気感染は対面で顔を合わせなくても感染する、というのが特徴です。例えば感染者が部屋の中にいた場合、その人が出ていったあとも一定の時間、部屋の空気中にウイルスが浮遊しています。ですから感染者が出ていったあとに部屋に入ってきた人も感染する可能性があるということになります」

医師にとっても「普段診る病気ではない」

県医師会は、随時、各医師会を通じて医療機関へ県内の患者発生状況を通知するとともに、注意喚起を行っている。

稲光毅医師
「医師にとっても、はしかは普段診る病気ではありません。ですから、『今はその可能性がありますよ』という意識づけの意味でも注意喚起を行っています。はしかのこわさは、特に乳幼児が感染すると、肺炎や脳炎になって死亡することもある。福岡県の場合は、40代の患者と同じ建物にいた0歳児が発症しています。すでに二次感染が起きていますし今後の広がりが心配です。今この時期は、『早めに気づく体制』が重要です」

ワクチンを接種していない人は感染したら100%発症する

厚生労働省によると、免疫を持っていない人が感染すると、ほぼ100%発症する。空気感染するため、手洗いやマスクのみで予防はできない。最も効果があるのが2回のワクチン接種だ。

2000年4月2日以降に生まれた人は、定期接種として2回のワクチン接種を受ける機会があるものの、それ以前に生まれた人は、定期接種としては1回のみだった。

前出の稲光医師はこう話す。

稲光毅医師
「50代以上の多くは、はしかにかかったことがあるので免疫を持っている人が多い。注意が必要なのは30代、40代。はしかの流行自体がなくなると、ワクチンを1回うっただけでは、時間がたつとワクチンの効力がおちてくる。ワクチンを一回受けていても定着していない人が多いのです。そしてワクチン接種する前の乳幼児も注意が必要です」


国は、一部の人を対象に、今年4月から2年間、公費でワクチン接種を行っている。詳細については、各市町村に問い合わせを。