「みんな本当は死にたくなかった」 仲間は叫ぶ「お母さーん」と

 1943年、日本が敗走を重ねる中、不足する兵力を補うため、大学生は陸海軍へ入隊することなりました。「学徒出陣」と呼ばれ、大学生だった千さんも海軍に入隊。そして1945年、特攻隊員を志願しました。

 (千玄室さん)「こんなんかなんわと、本音は。歩兵にいった連中はどんな目にあっているか、それ思ったら何とも言えない」

 爆弾を抱えた戦闘機が艦船をめがけて急降下する「特攻」。「出撃すれば確実に死ぬ」。千さんが我が身を重ねたのが先祖の千利休。時の権力者、豊臣秀吉の命令で切腹しました。
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 (千玄室さん)「利休居士は腹を召された。私は15代目でまた腹を召さなあかんかなと。ただね、さみしそうなおふくろの顔が出てきてね。それだけやった」

 千さんは言います。「みんな本当は死にたくなかった」。特攻機のそばで開いた茶会で仲間が立ち上がり叫びました。

 (千玄室さん)「『お母さーん』とみんなが叫んだ声が私の耳の奥に残っています。『おふくろに会いたいなあ』と、みんな涙流しながら。思い出しますね、みんなの声が。みんな突っ込みました。みんな帰りませんでしたね。みんな亡くなった」