今回の大雨では熊本県内各地で集落の孤立が発生しました。住民に支援物資を届ける町の職員に同行し、集落の現状を取材しました。

美里町では土砂崩れが相次ぎ、懸命の復旧作業が続いています。しかし今も、6つの地区19世帯33人が孤立状態です。※14日午後1時時点

9世帯17人が孤立 中岳地区

昨日(13日)、町役場では職員たちが孤立集落に届ける水や食料を軽トラックに積み込んでいました。向かうのは、9世帯17人が孤立する中岳地区です。

役場から地区までは約17キロ。職員9人が3台に分かれて集落を目指しますが、道路脇には土砂や流木が残ったままです。

町の観光名所、霊台橋を過ぎると、坂道が続き道幅も狭くなります。すると突然、前の車が止まりました。目の前にあったのは、土砂崩れ現場です。

電柱も倒れ、車が通れるのはここまで。

町職員「行けそうですか」
町職員「行ける行ける」

職員たちは安全を確認した上で、道路脇の急な斜面に下り、川沿いのぬかるんだ土砂の上を歩き始めました。

ここからは人力で物資を運びます。

町職員「思っていたよりひどい。まだ始めのほう。まだ先が長い」

土砂崩れ現場の先は、物資を肩にかついで集落を目指します。数百メートル進むと、物資を待っていた中岳地区の住民の姿が見えました。

住民たちは受け取った物資を農業用の運搬機に積み替え、陥没やひび割れが目立つ坂道を慎重に登っていきます。

そして…。

記者「町の職員と地区の住民の連係プレーで、今、孤立集落となっている、この公民館に水と食料が届きました」

町役場を出発してから2時間が過ぎていました。

待ちに待った水と食料の到着に地区の区長は。

中岳地区 藤本憲一区長(73)「連絡したらすぐ持ってきてくれたので、助かっている」

住民たちは早速、支援物資を仕分けましたが、懸念されるのは孤立の長期化です。

70代住民「何もできないので。病院も行けないし、仕事している人もいるので」
60代住民「一番困るのはお年寄り。ヘルパーさんに来てもらっていたけど来られない」

中岳地区に続く道路の復旧は2週間以上かかかる見通しです。