福本さんの挑戦「畜養」

福本真司さん
「商品にするにはちょっと弱いですけど、基本的にはこの状態からキャベツをあげて、2か月ぐらいで身をしっかり入れて商品にするという感じですね」

福本さんは4月から、身の少ないウニを陸上の水槽で育て直す「畜養」に挑戦しています。

エサは阿武町産のキャベツです。

福本真司さん
「地域内での物の循環というのをすごく大事にしているんですよ。できたウニも阿武町で道の駅の名物にするとか」

この日は地元の農家を訪ねました。
廃棄するキャベツの葉を譲ってもらうためです。

野菜農家 鈴尾一夫さん
「これをただただ捨てるわけね。このままトラクターですき込んじゃうから、もったいないと言えばもったいないです。せっかくできた、たぶんビタミン価とかすごく高いと思うんよね」

農家の鈴尾さんはウニにキャベツを食べさせる取り組みに興味を持ち、協力することにしました。比較的、涼しい山あいの畑で、夏場もキャベツを育てているため一年中、提供できるそうです。

野菜農家 鈴尾一夫さん
「ウニも駆除して捨てるようなウニだと聞きました。うちにとってもキャベツの外葉というのは商品にするときにむしって捨てるようなものなんですね。無から有を生じるというのはね、そういうところ大変おもしろいと思いました」

福本真司さん
「今、海藻を食べて磯焼けを助長する悪者になってしまってますけど、それをもう一度商品価値のあるものに変えていくっていうところが魅力的なところですね」

水槽ではおよそ1000個のウニを育てています。4月から5月上旬にかけて取ったものです。キャベツをどうやって与えるのがよいのか。切る大きさなども研究しています。

福本真司さん
「細かいほうがいいみたいですね。沈んで拡散しやすいので、食べてもらいやすいですね」

キャベツの葉が大きいと浮いてしまうため、沈むように細かく刻んで与えるなど工夫しています。

およそ2か月間、3日に一度のペースで与え、9割近いムラサキウニに身が入ったということです。

福本真司さん
「おいしいです。新鮮なもの、食べているという感じが甘さがぐっときますよね。この味を売っていきたいですね」

味を確かめた福本さんの表情は誇らしげでした。