2025年春の全国大会で2位となった岡豊高校の柔道選手を紹介します。インターハイ制覇を目指す、高校生の思いを取材しました。

6月に行われた、高知県高校体育大会、通称県体。柔道男子66キロ級、オール一本勝ちという圧倒的な強さでインターハイ出場を決めた選手がいます。岡豊高校3年、安岡快晟(やすおか・かいせい)選手。

(岡豊高校3年 安岡快晟 選手)
「初戦から決勝戦まで自分の柔道を貫き通すことができました。全国大会はみんな組み手のレベルが高いので、それに負けないように練習に取り組んでいます」

安岡選手は南国市出身。5人兄弟の次男です。兄弟全員が柔道をしている柔道一家。安岡選手は6歳で柔道を始めました。

(岡豊高校3年 安岡快晟 選手)
「相手を投げる爽快感が気持ち良いです。投げて『一本』と言われた時の『よし!』みたいな感じです」

頭角をあらわし始めたのは小学生の時。1年生から県大会で優勝すると、中学生の県の大会でも優勝。2024年、高校2年生で初めてインターハイに出場。2025年3月には、全国高校選手権で2位になりました。輝かしい成績に見えますが、安岡選手本人は。

(岡豊高校3年 安岡快晟 選手)
「(全国高校選手権)決勝戦は相手に圧倒されて何もできなかったですね。全国の決勝はこんなにも厳しいのかと・・・レベルの違いを感じました」

安岡選手はいま、インターハイ制覇に向けて毎日厳しい稽古に励んでいます。得意技は、“内股”。組み手の早さも大きな武器です。2つ下の学年には、弟の嶺(れい)選手もいます。兄の強さについて、聞いてみました。

(岡豊高校1年 嶺 選手)
「かなわないです。組み手が早くて、まだまだ追いつけないなと思っています。1つ1つの丁寧さがこの道場では1番かなと思います。(部員にとって)目標となる存在だと思います」

全国トップレベルの安岡選手の強さを柔道歴13年の遠藤アナウンサーが実戦形式で体験しました。開始10秒ほどで…。

さらにその直後も。

10秒に1回のペースで投げられる遠藤アナウンサー。丁寧かつ素早い安岡選手の組み手に圧倒。技の種類も豊富で、太刀打ちできませんでした。

(遠藤弥宙 アナウンサー)
「全く歯が立たないですし、まず組ませてもらえません。技も1回くらいしか掛けることができませんでした。体の使い方がとても上手いなと思いました。僕の体重移動、どっちに力を入れているか、体重をかけているかを全部把握されていて、全て崩されてから投げられています。強すぎます」

1番になりたいという気持ちを常に持ち、ケガに苦しむ時期も厳しい稽古に励んできた安岡選手。全国大会では初戦敗退も経験しましたが、安岡選手は高知で稽古を積み続け、全国トップレベルの選手に成長したのです。

(岡豊高校 柔道部 藤澤征憲 顧問)
「コツコツ積み重ねてやっていくことで、うち(岡豊)でもやれるところ、大きな私立の強豪校にも打ち勝っていけるところ、そこはやっぱり自分としては弱点ではなく強みだと感じています」

(岡豊高校3年 安岡快晟 選手)
「練習時間も私立と変わらないぐらいやっているんじゃないかと思っていますし、練習内容も環境も自分の中ではすごく良いと思っていますし、これだったら全国でも通用するんじゃないか、県立高校でも通用するんじゃないかというのをすごく感じています」

県体の後、2025年は高知で行われた四国大会。インターハイ前の貴重な実戦の機会です。初日は団体戦。2連勝で決勝トーナメント進出に王手をかけた、岡豊高校。最終戦は徳島の王者・阿波高校との大一番でしたが、安岡選手の登場前に、敗戦が決まってしまいます。

0-4。大将は安岡選手。団体戦の勝負は決していますが会場は、「安岡選手が何かやってくれるのでは」という空気に包まれます。

(岡豊高校3年 安岡快晟 選手)
「動きを早くして、どんどん自分のペースにのめり込んでいくことを意識しました。『自分は何が何でも勝つ。絶対に1点は取る』という気持ちでやりました」

意地の柔道で翌日の個人戦につなげました。翌日の個人戦。安岡選手は、持ち前の素早い組手と豊富な投げ技で決勝に進出しました。迎えた決勝、相手は春の全国大会3位の新田高校(愛媛)・菅野駿選手です。全国大会では安岡選手が勝利していますが、緊迫した展開に。

同じ四国で小学生の時からしのぎを削ってきたライバル同士。試合が動いたのは2分、菅野選手の小内刈りが有効となり、安岡選手は追う展開となります。さらに、ポイントを追加され、残り時間も少なくなっていきます。逆転を狙い組み手で仕掛けたとき。

菅野選手に懐に上手く入られ、悔しい一本負けを喫しました。

(岡豊高校3年 安岡快晟 選手)
「相手に攻めさせることが多くて、自分が攻めるタイミングが少なかったと思います」

四国大会は悔しい結果となりました。次は、必ず優勝を。そう心に誓い、安岡選手は最後のインターハイにのぞみます。

(岡豊高校3年 安岡快晟 選手)
「最初からどんどんとばして、自分のペースにのめり込んでいく柔道をして、日本一に駆け上がりたいと思います」

インターハイ柔道競技は8月13日(水)から岡山市で始まります。安岡選手が出場する男子66kg級は14日(木)に行われます。