1945年9月末から10月にかけて撮影された広島の映像があります。日本映画社のスタッフの手で撮影されたものです。これまで私たちはこの映像とともに被爆の惨状を伝えてきました。しかし、核兵器は廃絶どころかその使用が現実的な危機として存在しています。核兵器が使われたらどうなるのか、少しでも想像をしてもらうため、この原爆記録映像をAIを活用しカラー化するプロジェクトに取り組みました。

今回のプロジェクトは、東京大学大学院の渡邉英徳教授の協力を得て取り組みました。渡邉教授は戦前・戦時中の写真や映像をカラー化することを通じて記憶を継承していく取り組みをおこなっています。
3月、カラー化の進捗を確認するため、東京大学を訪れました。まずはAIによって自動的に着色していきます。写真と違い映像は1秒間に何枚もフレームが連続しているため、自動的とはいえ膨大な時間がかかります。
東京大学大学院 渡邉英徳教授
「例えばここ見ていただくと、今2723枚目を計算してる」
ただ、AIによる着色は決して正確ではないと指摘します。

「こう男の子の頭の部分がこう黄色くなっている部分がある。これはAIが頭ってことが認識できてないからです」
映像に写る人物などを正確に認識できないと再現性は低くなるといいます。さらに…。
「例えば路面電車については、この時期走っていた電車の色は青だったはず。でもAIは、当然知らない。AI着色というと、背景に膨大な歴史の知識がとよく誤解を受けるが、全然そういうわけではなくて、あくまで見た目ベースでしかやってない。だから、人間が後から検証することに意味がある」