目指すピッチングは「ど真ん中ドーン」

石井アナ:やはり藤浪晋太郎っていうピッチャーに、我々が魅力を感じる部分では、スピードのあるストレート。やっぱりここが軸になるんじゃないかなって思うんですが、今まで7色の変化球だとかいろんなことをトライされて、いまどういったピッチングをしていきたいですか。

藤浪選手:もういたってシンプルに。どうしても自分の中で難しく考えがちな癖があるので。余計なことをマウンド上で考えますし、頭を使いすぎるところがあるので、もっと野生的に動物的に、“ど真ん中ドーン”ぐらいの感じでシンプルにプレーできたらいいなと思います。

石井アナ:頭を使いすぎるっていうのは、どういうシチュエーションで考えちゃうんですか?

藤浪選手:自分のフォームのことを考えたりだとか、そうなるとやっぱりどんどんどんどん悪い方向に行くので。もっとそこに投げるとか、本当にシンプルな方にできるだけフォーカスしていきたいなと考えてます。

石井アナ:確かに技術的なこととかがよぎると・・・

藤浪選手:自分自身の方に思考が向くと良くないなというのは感じてますね。最終目標はバッターを抑えることなので、そこにどれだけ意識を向けるか。シンプルになって、状況も整理しつつ、バッターと勝負できるかっていうのは、メンタルスキルだと思うので。DeNAもそういうサポートをたくさんされてるって言ってましたし、勉強しながら、よりよくシンプルに投げていきたいなと思ってます。

石井アナ:でもやっぱりシンプルな160キロっていうのは見たい。阪神タイガース3年目のキャンプのときも、お話聞いてるときに「僕は別にスピード競争してるわけじゃないんだ」と。だけど、やっぱりファンの皆さんは見たい部分がある。ここについてはいかがでしょう。

藤浪選手:スピードは、ついてくるものだと思いますけど、一つの武器でもあると思います。やっぱり160キロ近いボールってゾーンに投げるだけで、ガクッと打率も下がりますし、そういう意味では一つの武器なので。プロ野球って一つの興行であり、ショーであると思うので、お客さんの見たいものを見せるっていうのは、プロ野球選手の仕事の側面ではあると思いますし。力んで160キロを出しに行くんだってことはしないですけど、よりそういう速球で魅了できればいいなとは思ってます。

石井アナ:先ほどおっしゃられた野生的な感覚で、「真ん中ドーン」っていうことですよね。

藤浪選手:そうですね、力勝負をより多くできればいいなと。見応えのある勝負をたくさんできればいいなと思ってます。

石井アナ:あとはちょっと気になるのがやっぱりボールだとか、日本のものにまた戻る。この部分に関してはいかがですか。

藤浪選手:ここ数日NPB球を投げてましたけど、全然違うなと思いますし、そこへのアジャストは必要かなと思いますね。

石井アナ:やっぱり感触が?

藤浪選手:そうですね、滑りにくいっていう意味では、すごくありがたいんですけど。MLB球ってサラサラしている感覚があるんで、山が低かったりだとかあるんですけど。自分の中では、NPB球の方がちょっと変化球が曲がりにくかったりする感触があるので、そういう意味ではそれを曲げようとしたりとかっていう意識が出てこないようにしないとなっていうのは感じてます。

石井アナ:あと、NPBのバッターたちもこの3年間で、変わってきてるんですね。メジャーにいたときはご覧になってたんですか。

藤浪選手:毎日じゃないですけど、結果とかダイジェストとか、ざっくりしたものですけど、見てました。

石井アナ:その中で、ご自身が誰と対戦したいとか、この選手はこういう配球でとか・・・何か考えてる部分はありますか?

藤浪選手:対戦したいと思うのは、阪神タイガースの佐藤輝明とか。今年すごく成績がいい(両リーグトップの27本塁打、68打点。打率は.2822※8月4日時点)ですし、スター性のある選手なので。いい勝負ができたらいいなとかは思ったりしますね。

石井アナ:今シーズン、藤浪選手がご自身の中で目標にしていることを聞かせていただいてもいいですか。

藤浪選手:いかにシンプルに投げられるか、シンプルにストライクゾーンにアタックしていけるか、ストライクゾーンをどれだけ支配できるかだと思うので。それにひたすら集中して、プレーできればいいなと思ってます。