日銀はアメリカの関税政策の影響を見極めるため、政策金利の据え置きを決めました。

日銀 植田和男 総裁
「関税率がどうなるかという点に関する不確実性は若干低下したと思いますが、一気に霧が晴れるということはなかなかないのかなと思います」

日銀はきょう(31日)、政策金利を0.5%に据え置く決定をしました。

会見で植田総裁は日米の関税交渉の合意を「大きな前進」と評価。不確実性が低下したことで経済・物価の見通しについて「実現の確度は少し高まった」と発言しました。

ただ、追加の利上げについては「賃金と物価が相互にプラスに影響しあうメカニズムがあまり途切れずに続いていくか」などが判断材料になるとして、関税が経済と物価に与える影響を見極めたいという姿勢は崩しませんでした。

一方、日銀は展望レポートでコメなど食料品の価格が想定よりも上昇していることから、今年度の物価上昇率の予想を2.2%から2.7%に大幅に上方修正しています。

植田総裁は「上方修正だけをもって金融政策が左右されるものではない」としながらも、インフレの長期化が消費者心理などを通じて基調的な物価にも影響を及ぼすリスクがあるとして、「以前より注意して見なければいけない」と述べました。