「サンガの未来をつなげることができた。これまでの努力が最後に助けてくれた」

当然にようにゴールキーパーの佐藤優也選手も攻撃参加。最後のチャンスにかけて、河原選手が精度の高いコーナーキックをけりこんだ。佐藤選手を狙ったボールは、何とか跳ね返したサンガだったが、クリアしたボールは、熊本の平川玲選手の足元へ、強烈なシュートがサンガゴールに襲い掛かる。しかし、この至近距離からのシュートを、FWのピーター・ウタカ選手が顔面でブロック。

「あの場面、僕のやるべきことはわかっていた。迷わず顔を突き出した」と語ったように、この3年間、FWとして得点を量産してきたスタライカ―が、ゴールに値するディフェンス。ぎりぎりのところで失点を阻止した。

それでも、まだドラマは終わらない。なんとかブロックしたボールがこぼれたところを拾ったのが、またしても平川選手。今度は、すこし右に持ち出して、シュートコースをつくると、ペナルティーエリアの外から、GKの上福元選手も反応できない位置へ鋭いシュートを放った。

しかし、ボールは無情にもゴールポストに阻まれて、ゴールならず。目の前で、見つめていたロアッソのサポーターも、思わず崩れ落ちた。そして、ロスタイムの4分が過ぎたところで、ついにタイムアップ。

雨中の決戦は、京都サンガに女神がほほ笑んだ。

「これで、サンガの未来をつなげることができた。これまでの努力が最後に助けてくれた」とキャプテンの松田天馬選手が語った未来をかけた大一番。お互いが、自分たちのサッカー信じて、築き上げてきた力をぶつけあった一戦は、「努力し続ければ、必ずチームは強くなる」その言葉が正しいことを、あらためて気づかせてくれた好ゲームだった。