なぜ賃金格差が生まれるのか 地域間での生活環境の違い
藤森祥平キャスター:
物価高で苦しいですし、少し隣の県をまたぐと時給が100円上がるのは大きい。この最低賃金の地域差が生んだ「越境アルバイト」、どう思われますか。

小説家 真山仁さん:
聞いたことがありますし、気持ちもわかります。ですが30分もかけて越境し、交通費も出してくれない中でやるのかというのは、最低賃金だけではないと思いますが。
なぜ地域差があるのかということに少し疑問があります。
100円もしない幅でまったく違うわけで、これが越境を生んでいる要因ならば、きちんと説明をしてほしい。それが合理的なのかということを知りたいですね。
藤森キャスター:
つまり真山さんはどちらかというと全国一律の最低賃金の方が望ましいんじゃないのかと。
真山さん:
いえ、本当はもっと細かく決めてほしいということです。
例えば、私は兵庫県民ですが、同じ県内でも阪神地区と日本海側では、生活環境が全然違います。やるならもっと徹底して欲しいです。できないなら一律の方がいいんじゃないかと思います。
あとは、最低賃金しか払えない社会はしんどいですよね。
藤森キャスター:
厚生労働省のホームページによると、「地域によって、物価や労働者の賃金等が異なるから」という理由で、最低賃金が都道府県で異なるそうです。

例えば、東京都は最低賃金が1163円で、全国で最も高く、東京都23区の1Rマンションの平均家賃(SUUMO調べ)を見ると7.8万円です。
一方、全国で最も低い秋田県の最低賃金は951円です。1Rマンションの平均家賃は4万円と、これだけ差があります。
こうした中で地域差をどう一律に揃えていくべきか、できるのかですね。
真山さん:
逆に言うと、東京の人の賃金は少なすぎますよね。平均家賃は倍じゃないですか。そうなると秋田県の人は賃金をもらいすぎでは、という議論になる。
だから何となく差をつけているというのは、もう少しちゃんとしてよという気はするんですけど。
都道府県ごとに異なる最低賃金について「みんなの声」は
NEWS DIGアプリでは『都道府県ごとに異なる最低賃金』について「みんなの声」を募集しました。

Q.最低賃金の違い どう思う?
「全国一律にすべき」…39.3%
「現状の地域差は容認できる」…42.8%
「各地域の判断に任すべき」…14.9%
「その他・わからない」…3.1%
※7月29日午後11時16分時点
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません
※動画内で紹介したアンケートは30日午前8時で終了しました。
藤森キャスター:
難しいところですよね。
人材流出という観点で言うと止めたいのはわかりますが、最低賃金を一律にすると、経営陣や中小企業の方ですと、賃金を上げるのが難しいという声も出てきそうです。
一方で経済力の高い地域で、本来だったらもっと払えそうな企業が、下の基準に合わせるというのもどうなんですかね。
真山さん:
やはり「頑張れば昇給できる」という柔軟な賃金制度を、もっと奨励してほしいなと。みんな最低額しか払わないのは、日本は本当に先進国なのかと聞きたくなります。
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<プロフィール>
真山仁さん
小説家 2004年「ハゲタカ」でデビュー
最新著書に「アラート」