「金から性欲へ」変遷する動機

「目的はお金。手っ取り早くお金を得るために、女性からもらおうと考えて。ずっと、専業主夫になりたかったんです」
白石はこの事件を起こす前、女性を風俗店に違法に紹介したとして逮捕、起訴され、執行猶予中の身だった。実家で過ごす日々のなかで、同居する父親と折り合いが悪く、「自立した生活を送りたい」と考えていたという。
白石の言う「自立した生活」とは、「女性のひも」になることだった。
「一人目の被害者を口説いているうちに、お金を持っていることが分かったんです。ちょうど、部屋を借りたいと思っていたので、2人で不動産屋に行ったんです。でも、自分は無職だし、貯金も無いので、断られてしまって」
一人目の被害者から50万円を借り、それを元手にアパートでの生活を始めた。しかし、生活はすぐに行き詰まる。
「その子には彼氏がいたので、自分に興味が無くなってしまうかも知れない、そうなるとお金を返さないといけない。執行猶予中でしたから、恐喝とかで捕まったら困ると考えたんです。それで、殺害まで一気に飛んでしまった」
「金を返したくない」という理由から、女性を殺害したと明かした白石。執行猶予中に再び罪を犯せば、刑務所に収監されてしまう。ならば、事件が発覚しないよう証拠を隠滅すれば良い。そう考えたというのだ。
「人を殺すことに抵抗がなかったかというと、ウソになると思います。でも、犯罪を犯すという方針は『生きる糧』でしたから。生きる上で、お金をもらうために女性を口説いて、お金をせしめて、お金をもらえなければ性欲の対象とするって方針を立てたんです。『生きる糧』だと決めてからは、抵抗はなくなりましたね」
その言葉通り、白石は次々と事件を繰り返していく。当初の「金を得る」という目的は、次第に性欲を満たすことに変わっていった。
犯行を容易にしたのは、SNSの存在がある。白石にSNSを使った理由を尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「Twitterはかかりが良くて、めっちゃ便利でした。『死にたい』とか『寂しい』とか、つぶやいている人に手当たり次第にメッセージを送りました。ばれなければいいやと、ブレーキを掛けられずにいました。逮捕された時に、警察にも言われたんですよ。麻薬と同じだって。ダメだって分かっているのに、やってしまう。快楽を覚えてしまって、やめられなくなった」
一方で、自宅に招き入れたものの、殺害せずに帰した人もいた。
「極悪非道だと思うでしょうけど、お金をもらえた人は、帰していたんですよ。帰した人は、3人。一人はフラれてしまって、一人とは性行為ができましたが、もう一人はキャバクラで働いている人。みんなお金をもらえていたから、帰したんです」