参議院選挙の投開票日までのおよそ1か月間で、候補者や警護対象者に対する殺害予告など、SNS上の危険な投稿が889件に上っていたと警察庁が明らかにしました。

前回の参議院選挙の街頭演説中に発生した安倍元総理の銃撃事件から3年。

この事件をきっかけに注目された単独でテロなどを行う「LO(エル・オー)」=「ローン・オフェンダー」について、警察庁は今回の選挙期間中、「LO脅威情報統合センター」を設置して警備体制の強化を図りました。

そしてきょう(24日)、警察庁は参議院選挙の投開票日までのおよそ1か月間で、候補者や警護対象者に対する殺害予告など、SNS上の危険な投稿が889件に上っていたと明らかにしました。

警察庁によりますと、石破茂総理の公式Xに隠語を使って「首洗って待ってろ56してやる」などと殺害予告をする投稿のほか、「〇す」「4ね」「タヒね」「山上する」などの投稿もあったということです。

「LO脅威情報統合センター」は、都道府県警や各陣営などから寄せられた危険な投稿の情報の中から特に危険性が高いと総合的に判断した場合は、投稿者を特定する調査を実施。

実際に投稿者の自宅を訪問するなどして、本人に直接警告したということです。

警察庁は具体的な例として2件公表しました。

7月3日の石破総理の公式インスタグラムでは、「生命狙われてもおかしく無いから鉄帽と防弾チョッキは着といた方がええよ。」という投稿が確認され、翌日には投稿した人物を静岡県在住の30代の男性と特定。静岡県警が男性に接触して、警告したところ、男性は「石破総理に危害を加えようなどとは一切考えていない」「今後、このような書き込みは二度としない」と話したということです。

また、岸田文雄前総理の公式Xに、「お前、明日船橋来たら命ねぇかもな」「人生終了にしてやんよ!」などと連続して危険な投稿がされたケースでは、現場付近の写真も載せられていたことから危険と判断。投稿者は千葉県船橋市在住の40代の男性と特定して、千葉県警が接触したところ、男性は「政治に不満があり、飲酒した勢いで投稿した」「個人的な恨みはなく、申し訳ない」と反省の意を示したということです。

一方、参院選の警護をめぐっては、演説会場での手荷物検査や金属探知検査によってナイフやハサミなどの危険物が発見されたケースが、およそ140件あったこともわかりました。いずれも危害を加える意図はなく、多くは仕事などのために持ち歩いていたもので、主催者が一時的に預かり、演説後に返却する対応を取ったということです。

警察庁は「今回の選挙の警護で得られた経験を踏まえ、警護の在り方について不断の見直しを行い、今後も万全を期す」としています。