スピーカー持ち込み3時間 ディスカッションで深めた劇伴イメージ

長谷川:やっぱり、映画だと編集済みの映像に合わせて、という作り方で、ドラマは最初から何曲も作っておくので、その辺りも、違いは大きかったですか?
内澤:そうですね。映画はある程度できている画があって、それに対してどういう音楽が必要か、この尺でこういう音楽を付けましょうっていうのが普通じゃないですか。けど、ドラマは毎話ある中で、そこでいろんなシーンや条件に当てはまるような音楽を作るっていうところで、盛り上がりも必要だし、展開も1曲1曲に必要だというのは、全然違うなっていう印象でした。
長谷川:ドラマのほうが絶対、大変だと思います。だって、映画は画を見てイメージしやすいですが、ドラマは台本からでしかイメージできない。今回の場合だと、「異能力? 何?」ってなりますよね。本当に大変だったと思います。
内澤:難しかったですね。シーンに当てはめる音楽だと、短いと数十秒で一つが終わったりもするんですけども、そうもいかないので。全部展開を付けたりとかって考えると、やっぱり1分以上のものを毎回作るっていうところで。どんなものがいいんだろう?ってすごく悩みながら作ったのはありますね。
長谷川:あれは難しいですよね。
内澤:でも的確に、そこは“指示書”じゃないですけども、「こういうシーンに対しては、役のこういう心情を…」とか、ちゃんとおっしゃってくださっていたので、イメージしやすいようにしてくださったのが、すごく助かりました。それがあるのとないのでは相当違ったと思います。例えば「悲しいシーン」とか「明るいシーン」だけでなく、すごく詳しくお話してくださったので。
長谷川:確かにそれは、僕が楽しかったからついやってしまったんですけどね。内澤さんとは、3時間ぐらい打ち合わせしました?
内澤:そうですね、けっこう長めにしっかりお話しましたね。
長谷川:「そこは陣内(鉄平/演:中村倫也)が奥さんのために〜」とか、細かく説明しながら「こういう曲にしてほしいです」とお願いしたり。楽しかったな。3時間はさぞかし迷惑だったと思いますよ(笑)。
内澤:いえいえ、そんなことないです。長谷川さん、自分のスピーカーを持ってきて。音楽かけながら、こういうのもあるとか、こういうパターンもあるよね、みたいなディスカッションをしながら。日音さんでお会いしたのですが、そこにも立派なスピーカーがあるんですけどね(笑)。
長谷川:立派なスピーカーの使い方分かんねえな、って僕は(笑)。
内澤:もうその時、イメージをしっかりと持ってくださっていて。曖昧な考えとかだと自分も迷っていたと思いますし、そこでしっかり的確にお話してくださったのは、すごくありがたかったですね。