群衆の熱中症リスク「人いきれ」 主催者側も備え

22日夜、東京・葛飾区で行われた花火大会。夏の夜空を1万5000の大輪が彩りました。例年およそ70万人が来場しますが、開始直前、東京都心の気温は28.6℃。暑さ対策をしながらの花火大会ですが、その光景は始まる前から至るところで見られました。
ファン付きベストに、かき氷。 ただカメラをちょっと引いてみると、まるでキャンプ場のような光景が。直射日光を防ごうと多くの人がテントを張っていたのです。
こちらの夫婦、開始9時間半前の午前10時ごろから待っています。

夫婦
「去年はこういうものがなかったので、ずっと炎天下で待っていた。今年はこれを(テント)持ってきて涼しく過ごしている」
母親
「こまめな水分補給と、冷えるものを持ってくることが一番大切。拭いたら冷えるやつ(汗拭きシート)とか」
熱中症への備えは、主催者側も…
古田敬郷キャスター
「観覧エリアには救護所が3か所設けられていまして、医師や看護師の方々が常駐しています」

ただ、救護所でできるのはあくまでも応急手当。症状によっては、救急車を呼ぶといいます。そのため、救急車が通れる導線をあらかじめ確保。このカラーコーンの左側が専用の道です。
そして開始時間が迫ると、さらに多くの人が…
報告
「花火を見る人でごった返しています。 すごい人の数です」
夜7時20分、予定通り始まりました。都内屈指の花火大会、会場は多くの人で埋め尽くされました。
実は、こうした人が密集する場所。熱中症のリスクが潜んでいるといいます。それが「人熱(ひといき)れ」。
横浜鶴見リハビリテーション病院 吉田勝明 院長
「人混みによる風通しの悪化、湿度の上昇などによって非常にその空間というのが悪くなる。暑熱環境が悪くなる」

人の皮膚の表面温度は32度から33度あります。密集エリアでは人から放出される熱や汗の蒸発、そして呼気により湿度が上昇。さらに風通しの悪化などにより、熱中症のリスクが高まるというのです。そのため…
古田敬郷キャスター
「今年から人が密集するのを防ぐために、観覧できるエリアが拡大されています」
今年から観覧エリアを拡大、少しでも密集状態を解消しようとしているのです。
古田敬郷キャスター
「いま花火が終わりまして、みなさん一斉に駅の方に向かって歩き出しました」

午後8時20分に終了。ただ、帰り道にも注意が必要です。環境省によると、大規模な野外イベント終了後に最寄り駅周辺で1℃程度、暑さ指数が上昇したといいます。
花火大会に潜む意外な熱中症のリスク、専門家は適切な水分補給を呼びかけます。
横浜鶴見リハビリテーション病院 吉田勝明 院長
「目安としてはだいたい1時間に200ccぐらいですから、花火大会2時間ぐらいあるなら(500ml)ペットボトル1本飲むぐらいの感覚」