防潮堤と人々の暮らし
防潮堤の斜面を駆け下りながら遊ぶ子ども。野球をしている姿もあります。エンリコさんのレンズは次第にコンクリートの防潮堤ではなく、その内側で営まれる「人々の暮らし」に向けられていきます。それは、もともとエンリコさんが撮影したいと考えていたテーマでした。

エンリコ・グラツィアーニさん:
「私の関心は、建築物の防潮堤からその周辺へと広がりました。そこに住む人たちが被災者でありながら生活を再生させる日々に感銘を受けたのです。被災地で様々な問題を抱える。しかし、一生懸命再生させようとする姿、生業に興味が移っていきました」

イタリアでは2回写真展を開いたといいますが、気仙沼での開催は初めて。「写真を撮った地元で開催するのは覚悟がいることです」とエンリコさんは話します。作品は、地元の人にどう見えたのでしょうか。会場に、1枚の写真をじっくりと見つめる女性がいました。