旧姓の通称使用によるトラブルの事例(日本経済団体連合会の提言より引用)
① 契約・手続き等を行う際の弊害例
多くの金融機関では、ビジネスネームで口座をつくることや、クレジットカードを作ることができない。
クレジットカードの名義が戸籍姓の場合、ホテルの予約等もカードの名義である戸籍姓にあわせざるを得ない。
通称では不動産登記ができない。
契約書のサインもビジネスネームでは認められないことがある。
役員就任時の法人登記の際、旧姓の併記は可能ではあるが、旧姓を証明するために戸籍抄本が必要である。
② キャリアを積むうえでの弊害例
研究者は、論文や特許取得時(注3)に戸籍上の氏名が必須であり、キャリアの分断や不利益が生じる)。
国際機関で働く場合、公的な氏名での登録が求められるため、姓が変わると別人格としてみなされ、キャリアの分断や不利益が生じる。
③ 海外に渡航する際の弊害例
社内ではビジネスネーム(通称)が浸透しているため、現地スタッフが通称でホテルを予約した。
その結果、チェックイン時にパスポートの姓名と異なるという理由から、宿泊を断られた。海外ではセキュリティが強化されており、公的施設のみならず民間施設等においても、入館時に公的IDの提示を求められる。
その際、ビジネスネームが記載されている名簿と、公的ID上の名前が異なるとゲートを通れない。
そのため、いつも結婚前の古いパスポートを持ち歩き、説明・証明するのに時間を要する。
空港では、パスポートのICチップのデータを読み込むが、そこに旧姓は併記されていない。
よって、出入国時にトラブルになる。
④ プライバシーの侵害
民間企業において、結婚・離婚に伴う改姓手続きにおいて、一定範囲で届け出が必要となり、その情報の取り扱いにおける保護範囲も不明瞭で、プライバシーの侵害につながりかねない。