20日に投開票が行われる参院選で、争点となる4つのテーマについて課題と長野県区の立候補者の考えをシリーズでお伝えします。

1回目は関心が高まっている「コメ問題」です。

スーパーの棚から消えたコメ。去年の夏から続く、コメ不足と価格高騰。
全国のスーパーで販売されているコメの平均価格は一時、去年の2倍になりました。

政府は備蓄米を放出し価格を抑えにかかります。

先月29日までの1週間の平均価格は5キロあたり3672円に。
6週連続の値下がりとなっています。


一方で、備蓄米などのブレンド米を除く銘柄米は高止まりが続いています。

コメの適正な価格はいくらなのか。消費者に聞いてみると。

消費者:「3000円前後」
消費者:「2500円どまりかな」
消費者:「農家のことを考えると3000円か3500円ぐらいが妥当なんじゃないかな」

一方、生産者は。

安曇野の生産者:「肥料の関係はだいぶ上がっているし、あと燃料代も上がってるしあとはやっぱり人件費もね」
白馬の生産者:「高く売りたいっていうより再生産できる価格をお願いしたい」


コメ騒動の背景には生産コストの上昇も。
消費者と生産者が求める適正価格のギャップに、政治は何ができるのでしょうか。

「(今年の生育状況などはどうでしょうか?)私は順調だと思います」

白馬村で農業法人を経営する武田昭彦さん。およそ15ヘクタールの水田で、コメを栽培しています。


適正価格について聞くと。

武田昭彦さん:「備蓄米がどんどん放出されて5キロ2000円を目指すっていうようなところは私たち生産者からすると先々不安になると。老齢化が始まって稲作を諦めていくっていうような状況になりますから。先の見える農業にしていかないといけないんじゃないかなっていうふうに思います」


JAがコメの生産者に前払いする「概算金」。毎年、出荷の前にその金額が示されます。

今年はすでに、隣りの新潟県などで60キロ2万円を超えるところも出てきたといいます。去年を上回る金額を示すことで十分なコメを集める狙いがあります。


武田昭彦さん:「いまの肥料・農薬・機械の代金がこのまま横ばいでいくのかもっと上がってくるのかによって適正価格っていうのは変わりますよね。概算金が上がることは生産者としてはありがたいというふうに思います」

一方で、概算金が上がれば、コメの価格も上がります。


さらに出荷されたコメは流通に乗ると、輸送にかかる運賃や手数料、精米の経費などが価格に上乗せされますがそのコストも上昇しています。

JA長野中央会の神農佳人会長は概算金の引き上げは本意ではないと言います。


JA長野中央会・神農佳人会長「一律に高く設定してコメを集めても、販売するときには5000~6000円になればコメ離れになる。(適正価格は?)いくらとは思っていません。生産者が再生産価格いただけて消費者にはより安く食していただきたいと思う。その差額を国が何とかしてもらえたら」

中山間地が多い信州で、農地の集約によるコメ作りは限界があると考える武田さん。中小の生産者を守る政策を求めています。

武田昭彦さん:「法人だけで景観を守れるかっていえば難しいと思いますよね農村のコミュニティとかそういうものを大切にして地域社会を維持していかないといけないと思います。再生産できる価格なり基盤をどうやって守っていくかっていうことを今の政治に求めていきたいと思いますけどね」

「コメ問題」について、県区に立候補している5人に考えを聞きました。

◆参政党・新人 竹下博善さん:「コメ農家の方たちがまともに稼げないっていう状態があると思うんで適正ではない。根本は生産が足りてないってことだと思う。コメ農家の特に所得を補償していく。増産していけば中間業者も無理な値上げとかもしないと思うので、とにかく今はコメの量を増やしていくことが大事」

◆自民党・新人 藤田ひかるさん:「生産者さんとかが価格決定権をある種持てるようにする。生産コストに利益を上乗せして価格が決定できるようにするっていうのはある意味やらなきゃいけない当たり前のことだと思っているので、それを今回つくった食料システム法の中できちんとやっていく」

◆立憲民主党・現職 羽田次郎さん:「価格は市場で決めて所得は政策で決めていくというのがやっぱり農業の基本だと思いますので、そこはやっぱり所得法制をしっかりと国がしていくっていう意味で、農地を維持することに対する補償ということを党としても私としても訴えているところです」

◆諸派・新人 山田雄司さんは、どのくらいのコメがあるのか、国がデータを整備する「コメの見える化」を主張。

◆諸派・新人 加藤英明さんは、JA主体の流通を改めて、ネット業者を含めた競争入札の採用を訴えています。