鶴保議員発言に被災者は… 家族は「運がよくていなくなったのか」

川崎市で飲食店を営む楠健二さん(57)。2024年の元日、楠さんは輪島市の自宅で家族と一緒に過ごしていました。

しかし、地震が発生し、自宅兼店舗は倒壊した7階建てビルの下敷きに…

妻・由香利さん(48)と長女・珠蘭さん(19)が犠牲になりました。

楠健二さん
「2人同時は結構きついよ。本当に。1人でもきついけどさ」

倒壊した自宅から妻がプレゼントしてくれた時計を探す楠さん。

ーー毎年誕生日プレゼントをもらっていた? 

楠健二さん
「くれるんだよね。俺はあげていないけど。前も時計だったんだよね。なにせ時間を守らない男だから」

ーーそういう意味が込められている?

楠健二さん
「そうだね」

大切な家族を失った後も、気丈に、そして前を向き、神奈川県で店を再スタートさせました。

楠健二さん
魚は全部能登

ーーそこまで能登にこだわる理由は?

「こっちきてるから少しでも、あっち(能登)の力にならないといけない。おしぼりも能登、箸袋も能登から来ている」

店のメニューは輪島の店から持ってきたもの。描かれているのは、楠さんと亡くなった妻のイラストです。

今回の鶴保議員の発言について、楠さんは…

楠健二さん
「心がないね。そこに心あらずだね。あれだけの事があって、やっと1年半、まだ1年半。昨日のように地震が起きたような感覚で毎日仕事しているし生きている。目の前でこっちは家族を亡くしている。家がなくなりました、店がなくなりました。ぼくだけじゃない、たくさんいる。僕の家族は運が良かったからいなくなったのか、その議員に聞いてみたい。運が良かったから、僕の店はなくなったんですか。選挙があるから、一生懸命なのはわかるけど、そんなの知らないよ。こっちにしてみたら」

他の被災者も抱く思いは同じです。

被災者
「おもんばかることができないのか。ぽろっと言っちゃうんでしょうね。思っていることを言っちゃうんでしょうね。もうかわいそうな人だと思います」

被災者
「少しずつ前むいて歩こう歩こうとしとるときに、非常識やなというのは思う」

与野党からは…

立憲民主党 野田佳彦代表
「信じられない。失言というレベルじゃない」

自民党 森山裕幹事長
「発言としては極めて適切ではない発言でしたので、きょう厳重注意をさせていただいた」