■「“これを許したら祖国がなくなるんだ”という気概」
パルチザンの存在と活動はロシア軍にとって大きな脅威となっている。そのためロシアによる“パルチザン狩り”が活発化している。早朝、大勢の警察や親衛隊が来て小さな町を包囲し、パルチザン狩りが始まる…。こうして捕らえられたパルチザンは約1500人。現在ロシアの刑務所に入れられているという。
それでもウクライナの人たちは危険なパルチザンに身を投じる。無理やり動員されいきなり戦場に連れてこられたロシア兵とは根本的に違う。
防衛研究所 兵頭慎治 政策研究部長
「大義の違いが決定的な士気の差になっている。ロシア側はよく言われますが“何のためにこの戦争やってるんだかよくわからない”っていうのが末端の兵士の本音。が、ウクライナ側は“これを許したら祖国がなくなるんだ”という気概をもって市民が積極的に参加している」
■ゲリラ戦の教科書があった

パルチザンの存在が一つの原因ともいえるロシア軍の苦戦。これにはゲリラ戦の教科書ともいえるものがあった。ROC=抵抗活動戦略と呼ばれる300ページのもの。2013年にアメリカの特殊部隊が欧州で活動するための兵士に向けて体系化したもの。これは、元々ジョージアにロシアが侵攻した時に具体的に作り始め、クリミア併合の前年に明文化されたものだという。
ほとんどの住民が協力できるものとしては、今回効果を出している情報を味方の軍に伝えること。さらにそこから進んで、道路標識を付け替えたり、撤去したりして敵軍を混乱させること、道にガラスを撒くなど、ゲリラ戦のやり方が詳しく書かれている。そして最後は破壊活動に参加することと書かれている。そしてウクライナはロシアが攻めて来る前から準備を進めていたのである。

元陸上自衛隊東部方面総監 渡部悦和氏
「ROCができて、平時の段階から何をしなければならないか、例えば国民一人一人が何をしなければならないか、そして危機の際は個々人が何をすべきか、有事の時はどうするかの役割もマニュアル化してある。個人だけでなく、インテリジェンス機関だったらどうするのか、あるいは法執行機関では何をすべきか、などありとあらゆることが準備されている。ホールオブガバメントというのがROCの根本的な核心にあることなんです。」
(BS-TBS 『報道1930』 11月10日放送より)

















