未来に向かっていく高校生へ「仲間がいることってすごく幸せなこと」

Q:イチローさんもこの(元メジャーリーガー)4人で同じグラウンドに立って試合をするっていうところのワクワク感みたいなものはありますか。

イチロー:
あるよ。それは同じユニホーム着て、遊びじゃない、ただ楽しいだけじゃない野球を、この歳になって夢中になってできるなんて。しかもこのメンバーでね。結局ね、最近よく思うのは、今やってることが正解かどうかなんてわからない。時間が経たないとその答えは見えない。現役終わってなんでそんな毎日一生懸命やってんだっていう。何も知らない人はそういうふうに見ることもあると思うんですけど、でもこういうことが起こるじゃないですか。続けてきて良かったって思うし、これを続けたらまた次何が待ってるかっていうそういう期待も膨らんでくるので、それはなんかやっぱ軸だよね。大きな軸、うん。

Q:去年初回にいきなり3点を取られましたが、ピッチャーとして、女子選抜チームのレベルと、対策についてはいかがですか。

イチロー:
どんな選手が来るか全くわからないけど、向こうは完全に把握して対策してくるので、どんどん僕は追い詰められていく状態です。だから、かといって新しいピッチャーになれるわけもないからね。もう投球術を覚えるしかないと思うんだけれど。仮に僕は140キロ、それを叶えたとしても打ちますからね彼女たち。だから神戸でやったとき(1回目)とは、もうまるで違うレベル。
実は稼頭央には...稼頭央ピッチャーだったからね。ちょっと(ピッチャー)できるんじゃないかと期待。何も話してないんだけど期待持ってたんだけど、そこは無理ですね。だって肩やっちゃっているから。だから今年も僕先発完投しないとしょうがないし、この試合においてはそれが彼女たちのバロメーターでもあるとも言えるので、そこは目指したいところ、僕がやらなきゃいけないこととして捉えています。

Q:昨日、稼頭央さんにピッチャーの可能性あるって言ったら目を丸くして、びっくりしてていました。「やれと言われたら準備します」って。

イチロー:それはね、気持ちの話だから。それは額面通り取れないですよ。

Q:ここまで大会を続けてきたことで、女子野球の展望、将来的にどのような方向に行くのが理想だとお考えですか。

イチロー:
やっぱりこうやって高校時代にスポーツを通じて、彼女たちは野球ですけど、一つの目標に向かって頑張れる。この経験は、大人になって30年後、その仲間とまた一緒にご飯食べたりね遊び行ったり。そのときにできることをやっておかないと、僕、後悔するの一番イヤだから。
未来が開けてるからそこに向かっていくわけじゃなくて、こじ開けなきゃいけないわけで。こじ開けられるかどうかわかんないんだけど、見えないその未来に向かっていくっていう姿勢は、何歳になっても大事にしたいし、17歳とか18歳の子たちに、人生は有限だから今のことを大事にしてって伝えられたとしても、実感としてはなかなか持てないので、そこはね、難しいとこなんだけれど、最後は仲間がいることってすごく幸せなことだから、こうやって野球を通じて心が通った仲間とね、何か大事にしてほしいなと思う。

Q:去年は51番をつけて、51歳になる年ということで。ただ9月だった(誕生日が10月)ので、実際は50歳。今年は本当に51歳でプレーします。どんな野球を見せられるというふうにお考えですか。

イチロー:
去年と大きく変わることはなかなか難しいわけでね。でも現状維持でいいとも思ってないんですよ。まず万全の体を整えること。で、自分がイメージした動きが表現できるかどうかは、もうそれにかかっているので。
万全であっても、稼頭央みたいに力強さとかね、それはないですよ。ないけどそのしなやかさとか動きの柔らかさとか、綺麗な動きとかっていうのは表現できるので、それで見てる人がハッとするっていうのは、目標に今も思ってるところですけど。去年はそれができてないですから。
僕らの全力で結果がどうなるのかを見ようと、気持ちとしてはもう“ボコボコにするぞ”なんですよね。ボコボコにするぞ。キツイかな(笑)。どうかな。

Q:でも相手を認めていないとそういう発言にはならないと思いますので。

イチロー:うんうん(頷く)

Q:では今年のゲームに対しての思いを改めて伺えますでしょうか?

イチロー:去年を経て、今年僕らの気持ちとしては“ボッコボコにするぞ”、そういう気持ちですよ。

【試合日程】
SATO presents「高校野球女子選抜」vs「イチロー選抜 KOBE CHIBEN」
8月31日(日)午後1時30分試合開始(バンテリンドーム ナゴヤ)