■急増する学校関係者の感染 ある家族の結末

この日は、次々と学校関係者が検査に訪れた。
小学校の教師だという男性と、10代の2人の子どもと、さらに、80代の母親。一家4人全員、感染の疑いがあるという。症状のない子どもたちは、検体を提出した後、車に戻って待機。熱や咳などの症状がある男性と母親は、隔離室で結果を待つ。20分後・・・男性と母親は、陽性だと告げられた。

あゆみクリニック 藤川万規子院長:
この方(母親)が、81歳なんですよ。これだけで(薬を)飲ませなきゃって状態ですけど、熱が出てから日にちが経っているみたいで。

用意したのは特例承認されたばかりだった新薬「モルヌピラビル」。国内で初めてとなるコロナ専用の飲み薬だ。重症化リスクがある患者に、発症から5日以内に投与する必要がある。
母親だけでなく男性も、高血圧など重症化リスクが懸念された。一刻の猶予もない状況だ。少しでも早く薬を投与しないといけない。院長自ら隔離室を訪れて、副作用などの説明を行う。同意した上で、男性と母親は薬を服用。数日で症状が治まると期待されている。しかし、男性が院長に話した「心配事」で、状況は一転する。

小学校の教諭(50代):
実は息子が今週末、受験なんですね。(検査の)結果は聞いてない。さっき“調べます”って言ったままで、一緒に連れてきたけど。

藤川院長は、慌てて検体の検査状況を確認する。そして1時間後・・・。出た結果は、陽性。一緒に検査した教諭の娘も陽性と判明した。家族全員が感染していた。気丈な院長の口からも「かわいそう」との言葉が漏れる。

この日、診療所で検査した77人のうち、22人が陽性だった。その中で、中学生・高校生・大学生がそれぞれ2人ずつ、そして3人が教師だった。

あゆみクリニック 藤川万規子院長:
すさまじかったです。今日はまた。日に日にひどくなっていく。どこまでひどくなるんでしょうね。